著者
渡邉 卓弥 塩治 榮太朗 秋山 満昭 笹岡 京斗 八木 毅 森 達哉
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2017論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.2, 2017-10-16

本研究はウェブサイトに訪問したユーザのソーシャルアカウントを特定するサイドチャネル攻撃を実証する.特定経路を構成するのは,様々なサービスに実装されているユーザブロック機能である.準備段階では,候補となるソーシャルアカウント群に対しブロックと非ブロックのマッピングを行う.実行段階では,訪問者にタイミング攻撃を仕掛けブロック状態を推定する.推定結果とマッピングを照合することで訪問者とアカウントを紐付けることができる.著名な16のサービスにおいて攻撃が成立することを検証し,100%近い精度で特定に成功した.本稿は,ウェブサービスのソーシャル性に起因する新たな問題を提起し,その原理と対策を論じる.
著者
佐々木 結花 山岸 文雄 水谷 文雄 八木 毅典 黒田 文伸 和田 暁彦
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.74, no.7, pp.549-553, 1999-07-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
11
被引用文献数
1

We experienced a small outbreak of multidrug-resistant Mycobacterium tuberculosis infection (MDR-TB) among persons of in the middle and advanced age. The index case was 48-year-old man, and had complained productive cough since January 1996. He visited a doctor due to his symptom, and chest X-ray revealed cavitary lesion and sputum smear was positive for tubercle bacilli. He could not continue his admission because of his absence without leave and drinking, he was discharged on Day 54. The drug resistance was observed for INH (0.1μg/ml), RFP, and SM.Later, case 2, 52-year-old male, and case 3, 43-year-old-male, who were companions in mah-jongg with the index case, were diagnosed as pulmonary tuberculosis. The analysis of restriction fragment length polymorphism (RFLP) was done on 3 strains, and all showed the same pattern. Among other companions in mah-jongg with the index case, case 4, 28-year-old male, was treated as MDR-TB, and the drug resistance pattern was the same to that of the index case, but the details were unknown. Case 5, 65-year-old male, was diagnosed as drug sensitive pulmonary tuberculosis, thus he might incidentally suffer from pulmonary tuberculosis at the same time. Case 6, 46-year-old male, who had been treated for alcoholic liver cirrhosis, was introduced to our hospital as his sputum smear was positive, and the drug resistance pattern was observed similar to that of the index case.All the companions in mah-jongg suffered from MDR-TB except case 5. The RFLP analysis showed that the index case, case 2, and case 3 were caused by the same strain of M. tuberculosis. The drug resistance pattern of, case 4 and case 6 was the same to that of the index case. Based on these findings, it is highly suspected that this small outbreak was originated from the index case.
著者
八木 毅 波戸 邦夫 田邉 正雄 村山 純一 外山 勝保 大崎 博之 今瀬 真
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.461, pp.103-108, 2007-01-11
参考文献数
5
被引用文献数
3

本稿では,実社会情報に基づくニックネーム通信および接続制御技術によりSocial Networking Service (SNS)のセキュリティを強化する方式を提案する.従来のSNSでは,ユーザ識別子を用いた通信と,登録制や招待制に基づくユーザ間接続制御により,SNSサイト内に,現実社会の人間関係をマッピングしたコミュニティを生成する.これにより,インターネットと比較して,セキュリティを向上させている.しかし,従来方式では,ユーザ識別子がサイト全体でユニークであるため,ユーザ数の増加に伴いユーザ識別子の漏洩に起因したスパム被害およびフィッシング被害が増えていた.さらに,各ユーザがサイトに申告した年齢や住所などのアカウント属性情報と実社会の個人情報の一致性を確保できないため,不正ユーザがアカウント属性を詐称して正規ユーザとして振舞うことができた.これらの問題を解決するために,提案方式では,コミュニティ毎に,各ユーザが設定したニックネームに基づくコミュニティ通信環境を構築する.これにより,スパム被害やフィッシング被害を防止する.さらに,提案方式では,各コミュニティ管理者の要求に応じて,コミュニティ参加希望ユーザのアカウント属性情報と実社会の個人情報の一致性を確認する.これにより,アカウント属性情報の詐称を防止し不正ユーザを排除できる.提案方式では,情報の到達範囲を意図的に限定することが可能となり,その結果としてセキュリティが強化できる.
著者
山口 淳一 大場 有功 金田 美恵 内田 紀代美 石川 洋 鈴木 公典 八木 毅典 佐々木 結花 山岸 文雄
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.82, no.8, pp.629-634, 2007-08-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
8

〔目的〕定期外健康診断にクォンティフェロン ® TB-2G検査(以下QFT検査)を応用する際の留意点を明らかにすることを目的とする。〔対象と方法〕30代男性の肺結核患者(bII2,ガフキー9号,咳症状1.5カ月)を端緒として実施した会社の定期外健康診断の経過と結果を分析する。〔結果〕40歳未満の43名に対して,2カ月後の定期外健康診断において,ツベルクリン反応検査,QFT検査・胸部エックス線検査を行い,6カ月後の定期外健康診断において,胸部エックス線検査を実施した。また,9カ月後に2回目のQFT検査および胸部CT検査を実施した。2カ月後のツベルクリン反応検査は二峰性の分布を示し,QFT検査では10名が陽性,2名が疑陽性であった。QFT検査陽性・疑陽性の12名を化学予防としていたところ,6カ月後の胸部エックス線検査で,QFT陰性者から2名の肺結核患者が確認され,さらに9カ月後の胸部CT検査により5名の発病者が確認された。2回目のQFT検査では,発病者7名のうち3名が陽性または疑陽性であった。〔考察と結論〕QFT検査の結核患者における感度は80~90%とされており,偽陰性の可能性は無視できない。今回の経験を踏まえ,集団定期外健康診断において,QFT陽性・疑陽性者の割合が高かったり,ツベルクリン反応が明らかな二峰性の分布を示すなど,感染者が多数含まれている可能性が濃厚な集団では,以下に留意することが必要と考えられる。(1) 化学予防の対象者は,QFT検査結果のみでなく,ツベルクリン反応検査,接触状況などを総合的に判断して決定すべきである。(2)QFT検査陰性だった者についても,胸部X線検査の経過観察を行うべきである。
著者
佐々木 結花 山岸 文雄 八木 毅典
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.80, no.10, pp.637-642, 2005-10-15
参考文献数
19
被引用文献数
1

〔目的〕本邦の多剤耐性肺結核患者の接触者検診と化学予防の現状を検討すること。〔対象と方法〕1998年から2002年の5年間に,本邦の政令指定都市において施行された多剤耐性肺結核患者接触者検診についてアンケートを行った。〔結果〕アンケートの回答は13政令指定都市中9都市(69.2%)であった。過去5年聞に経験された多剤酎性肺結核症例259例中.1998年から2002年までに新規に多剤耐性肺結核が発病した症例は189例であった。189例中潜在性結核ないしは発病者を生じた多剤耐性肺結核患者は33例(17.5%)で,659例の接触者(20.0例/1多剤耐性肺結核患者)が存在した。化学予防を考慮された接触者は58例(8.8%)で,58例中実際に化学予防が行われた症例は41例であった。化学予防を行った症例からの発病はなかった。発病例は13例で,接触者1750例中の0.7%であった。13例中,発病時に問題があったとされた症例は9例で,その問題は,長期の発見の遅れ,入院拒否例からの感染発病,再排菌時発病,感染判明後の化学予防未施行であった。〔結論〕多剤耐性結核菌は,感性菌と同様に接触者に感染発病を生じることが推測され,化学予防など検診事後措置について検討する必要があると考えられた。
著者
小川 秀貴 山口 由紀子 嶋田 創 高倉 弘喜 秋山 満昭 八木 毅
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.2, pp.408-415, 2016-10-04 (Released:2016-11-08)

昨今のサイバー攻撃は巧妙化しており,マルウェア感染を未然に防ぐことが困難となっている.したがって早期のマルウェア感染検知技術が重要となっている.昨今のマルウェアはファイアウォールやプロキシでの検知を回避するために,C&C 通信に業務等で使われている HTTP を使用したものが多く,検知が困難である.そこで本研究では,特に HTTP トラフィックを対象としたアノマリ型の検知手法を提案する.提案手法では HTTP の各通信先ごとにリクエスト送信間隔とレスポンスのボディサイズから特徴量を抽出し,SVM を用いてマルウェア感染由来かどうかの判定を行う. Recent cyber attacks are sophisticated so that it is difficult to prevent malware infection. Therefore, early malware infection detection becomes more important. Moreover, latest malware utilizes HTTP which is widely used on business for avoiding detection by firewalls and proxies. It further makes malware infection detection harder with typical traffic analysis. In this study, we propose an anomaly detection method for malware originated HTTP traffic. In proposal, we judge HTTP traffic by SVM with utilizing newly extracted features such as HTTP request interval and response body size.
著者
佐々木 結花 山岸 文雄 八木 毅典 山谷 英樹 黒田 文伸 庄田 英明
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.443-448, 2002-06-15
被引用文献数
3

広汎空洞型肺結核 (<I>b</I>I3) 症例を臨床的に検討した。対象は95例, 平均年齢は49.5±13.0歳であった。結核発見動機は, 有症状受診84例, 他疾患管理中10例, 他疾患受診時偶然発見1例で, 全例が喀痰塗抹陽性であった。社会背景として職業は入院時無職31例, 日雇労務者24例, 生活保護受給者25例と, 社会的弱者が多数であった。入院時病状として重症例が多数であり栄養状態は不良であった。当院入院中に死亡した症例は19例 (20.0%) で全例男性であり, 結核発見動機は全例有症状受診で, 入院から死亡までの期間 (在院日数) は35.0±39.8日と短期であった。有症状受診例84例の受診の遅れの期間は5.5±5.0カ月であり診断の遅れの期間は0.3±0.9カ月と短期間であった。<I>b</I>I3症例は発見の遅れの長期化により重症化し, 受診の遅れがその大部分を占めた。予後不良であるこの病型が生じないために発見の遅れを短期化するよう多様な予防対策の実施が望まれる。
著者
杉山 浩平 大崎 博之 今瀬 真 八木 毅 村山 純一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.314, pp.7-12, 2007-11-08

本稿では、さまざまなリンクマイニング手法や従来のデータマイニング手法を統合的に扱うことができるフレームワークNMF (Network Mining Framework)を提案する。近年、リンクマイニングに代表される、複雑ネットワークのトポロジ構造を利用するさまざまな取り組みが活発に行われている。これまで数多くのリンクマイニング手法が提案されているが、これらは異なる分野でそれぞれ独立に研究されてきた。このため現状では、それらのリンクマイニング手法を相互に連携させて利用することは困難である。そこで本稿では、さまざまなリンクマイニング手法や従来のデータマイニング手法を統合的に扱うことができる、「ネットワークマイニング」のためのフレームワークNMFを提案する。NMFは、入出力の形式が統一された7種類の機能ブロックによって構成され、これらの機能ブロックを自由に接続することにより、さまざまなネットワークマイニング手法の実現を可能とする。さらに本稿では、NMFの利用例を示し、NMFによって高度なネットワークマイニングが可能となることを示す。