- 著者
-
津山 尚宏
- 出版者
- 公益社団法人 日本分析化学会
- 雑誌
- 分析化学 (ISSN:05251931)
- 巻号頁・発行日
- vol.63, no.6, pp.445-453, 2014-06-05 (Released:2014-07-04)
- 参考文献数
- 28
- 被引用文献数
-
2
目に見えない放射線による被ばくを定量的に評価することは,被ばく者への健康影響を予測し医療措置を正確にすすめ予後を評価する上で必須である.事故・災害による被ばくでは線量計などによる物理的線量計測を施行できないことも多く,事後に被ばく者の生体試料を用いて線量評価を行う「生物学的線量評価,biological dosimetry」が不可欠である.現在までに様々な線量評価法が開発されてきたが,正確性の観点からリンパ球の染色体異常頻度を測定する方法がgold standardとして頻用されている.本稿では,これに加え赤血球や歯,核酸,低分子代謝物などの様々な生体試料を用いた線量評価の試みを紹介し,有用性を議論する.