著者
倉田 良樹 西野 史子 宣 元錫 津崎 克彦
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

グローバル経済化による市場の不確実性に直面している現代の日本企業は、業務請負型間接雇用の導入によって雇用関係の市場化を実現しようとしている。業務請負型間接雇用は、いまや日本の労働市場において一定のセグメントとして定着している。業務請負型間接雇用で働く労働者に対しては、企業内労働組織において他のタイプの労働者と比べて特別に異なる人的管理の手法が適用されているわけではない。その生活環境は正社員に比べて顕著に劣位にあり、貧困の罠に陥るリスクに直面している。
著者
津崎 克彦
出版者
四天王寺大学
雑誌
四天王寺大学紀要 (ISSN:18833497)
巻号頁・発行日
no.63, pp.89-103, 2016

"本稿では2000年代以降、日本で広がった「ブラック企業」問題に焦点をあて、「ブラック企業とは何か」という問題について、既存の調査から概念整理を行った。 特に本稿ではブラック企業で行われているマネジメントに注目し、ブラック企業の背後にあるマネジメント原理を仕事のマニュアル性と人間関係の競争性に特徴づけられる「統制・独裁型」マネジメントと名付け、そうしたマネジメントが、標準化された消費市場のニーズや労働市場における供給過剰状態、そして「仕事=手段」と呼びうる仕事観に依拠しつつ、賃金が低くなった場合に特に「ブラック企業」と評価されるのではないかという点を仮説的に指摘した。加えて、本稿では、そうしたマネジメントに依拠しない「自由・民主型」モデルというものを提示しつつ、マネジメントの型と賃金との関連から、①体育会系組織、②狭義のブラック企業、③狭義のホワイト企業、④自己実現系組織という4 つの理念型を提示した。 歴史的に見れば、今日における「統制・独裁型」マネジメントの出現は、科学的管理法のサービス産業への応用とも解釈でき、また、ブラック企業問題の広がりは、国際化や情報化といった要因に加え、「仕事=手段」から「仕事=目的」という労働者意識の変化と仮説的に対応付けられるかもしれない。今後は課題として、一方では本稿で検討した「ブラック企業」モデルとその存立条件を実証的に検証していく必要性に加え、国際比較や従来の日本的経営論の再解釈等を通した歴史的検討をしていきたい。"
著者
津崎 克彦
出版者
四天王寺大学
雑誌
四天王寺大学紀要
巻号頁・発行日
no.63, pp.89-103, 2017-03-25

"本稿では2000年代以降、日本で広がった「ブラック企業」問題に焦点をあて、「ブラック企業とは何か」という問題について、既存の調査から概念整理を行った。 特に本稿ではブラック企業で行われているマネジメントに注目し、ブラック企業の背後にあるマネジメント原理を仕事のマニュアル性と人間関係の競争性に特徴づけられる「統制・独裁型」マネジメントと名付け、そうしたマネジメントが、標準化された消費市場のニーズや労働市場における供給過剰状態、そして「仕事=手段」と呼びうる仕事観に依拠しつつ、賃金が低くなった場合に特に「ブラック企業」と評価されるのではないかという点を仮説的に指摘した。加えて、本稿では、そうしたマネジメントに依拠しない「自由・民主型」モデルというものを提示しつつ、マネジメントの型と賃金との関連から、①体育会系組織、②狭義のブラック企業、③狭義のホワイト企業、④自己実現系組織という4 つの理念型を提示した。 歴史的に見れば、今日における「統制・独裁型」マネジメントの出現は、科学的管理法のサービス産業への応用とも解釈でき、また、ブラック企業問題の広がりは、国際化や情報化といった要因に加え、「仕事=手段」から「仕事=目的」という労働者意識の変化と仮説的に対応付けられるかもしれない。今後は課題として、一方では本稿で検討した「ブラック企業」モデルとその存立条件を実証的に検証していく必要性に加え、国際比較や従来の日本的経営論の再解釈等を通した歴史的検討をしていきたい。"