著者
赤瀬 広弥 吉岩 豊三 宮崎 正志 野谷 尚樹 石原 俊信 津村 弘
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.362-366, 2017-03-25 (Released:2017-05-01)
参考文献数
10

【はじめに】Bertolotti症候群は1917年にBertolottiが提言した最尾側腰椎の肥大した横突起と仙骨間に関節を形成し,腰痛を生じる症候群である.今回,Bertolotti症候群に対し横突起切除術を施行した2例を経験したので報告する.【症例】28歳女性と64歳女性.いずれも保存的治療に抵抗性の腰痛があり,単純X線,CTでは片側性に横突起と仙骨翼での関節形成が見られた.両症例とも横突起直上より侵入し,横突起切除術を施行した.1例目では,横突起基部から関節突起間部にかけての視認性が不良であり,横突起基部の切除に難渋した.2例目では顕微鏡を使用し,L5神経根に対して,より愛護的に施行し得た.いずれも術後,症状改善を認めた.【考察】手術的治療には横突起切除術と固定術があり,いずれも良好な成績が報告されている.われわれの症例では,横突起切除術を施行し,症状の改善を認めた.横突起基部の切除には,L5神経根が近接するため慎重を要するが,愛護的な処置のために顕微鏡が有用であった.
著者
兒玉 吏弘 松本 裕美 川上 健二 井上 仁 兒玉 慶司 木許 かんな 坪内 優太 原田 太樹 原田 拓也 片岡 晶志 津村 弘
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1298, 2015 (Released:2015-04-30)

【目的】頚椎症性脊髄症(CSM)患者の中に呼吸機能障害を呈する患者はどの位いるのか調査すること【方法】2009年4月から2011年3月までの期間にCSMと診断され,当院整形外科で手術を施行された70例(男性42例,女性28例,平均年齢70.8歳)を対象とした。年齢をマッチングさせた変形性膝関節症患者を比較対照群とし,2012年8月から2014年6月までに変形性膝関節症と診断され手術目的で入院した患者66例(男性11例,女性55例,平均年齢70.2歳)を検討した。いずれも後方視的にカルテより情報を抽出した。呼吸機能は肺活量,努力性肺活量,1秒量を測定した。CSMの重症度の評価は日本整形外科学会の頚髄症治療判定基準(JOAスコア)とBathel Indexを用いた。【結果と考察】CSM群の%肺活量と%努力性肺活量は,膝OA群と比べ有意に低下していた。換気障害の分類は,CSM群と膝OA群では,正常61%と85%,拘束性換気障害33%と3%,閉塞性換気障害3%と12%,混合性換気障害3%と0%であった。CSM患者のJOAスコアの平均は9.2点/17点満点,Bathel Indexは75.2点であった。膝OA群のBathel Indexの平均は95.5点であった。CSM患者の%肺活量はJOAスコア及びBathel Indexとの正の相関(r=0.43/r=0.68)を認めた。一方,膝OA群では,肺機能とBathel Indexとの間に相関関係は認めなかった。今回の結果より,JOAスコアが低く日常生活における介助を要しているCSM患者は非顕在性に%肺活量が低下している可能性があり,呼吸器合併症予防として診断早期からの呼吸理学療法が必要と考えた。
著者
石原 俊信 吉岩 豊三 金﨑 彰三 宮崎 正志 津村 弘
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.287-290, 2015-03-25 (Released:2015-05-22)
参考文献数
8

外傷性環椎後頭骨脱臼は致死的外傷に伴うことが多く,生存例であっても重傷頭部外傷の合併により看過されることがある.今回救命し得た1症例を経験したので報告する.症例は75歳,男性.軽自動車を運転中に大型トレーラーとオフセット衝突して受傷した.自発呼吸はあるが,意識昏睡状態であり,四肢完全麻痺,外転神経麻痺を認めた.急性硬膜下血腫,頭蓋頚椎移行部レベルのくも膜下出血,両側動揺性胸郭,血気胸,骨盤骨折を合併していた.basion-dens intervalは15.8mmと拡大し,condyle-C1 intervalはいずれも正常2.0mmを超える値であり,外傷性環椎後頭骨脱臼と診断した.全身状態が落ち着いた受傷後5週に後頭頚椎固定術を施行した.術後,ベッドアップの制限なく,瞬目で,はい,いいえの意思疎通を行い,離握手も可能となった.
著者
金崎 彰三 原 克利 河野 正典 糸永 一朗 加来 信広 藤川 陽祐 津村 弘
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.665-667, 2009-09-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
8

咳嗽により発症した腹直筋血腫の1症例を経験したので報告する.症例は77歳男性,糖尿病の既往歴があった.肺炎による激しい咳嗽後に右上腹部の疼痛と腫脹が出現した.超音波検査にて腹壁膿瘍が疑われたが,CTにより腹直筋血腫と診断し得た.保存的加療により症状は軽快した.3カ月後のCTでは血腫は著明に縮小しており,経過は良好である.