著者
長田 典子 岩井 大輔 津田 学 和氣 早苗 井口 征士
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.86, no.11, pp.1219-1230, 2003-11-01
被引用文献数
13

従来の感性情報処理では,メディアを構成するパラメータとイメージとの対応関係を,感性語を介して表現していた.これに対し感性語を介さないメディア間の直接的・感性的な対応付けをノンバーバルマッピングと呼ぶ.そして「色聴現象」(音を聴くと色が見える)に着目し,音楽における調・音高・音色のパラメータを変化させた際に色聴保持者が感じる色の対応付け(マッピング)の規則性を,色相・明度・彩度のパラメータを用いて明示的に表現した.次にこのマッピングが色聴をもたない一般人にも受容可能かどうかの検証を行った.まず一対比較法による感覚尺度化を行い,音高と音色に関するマッピングについては一般群に受容されることを明らかにした.次に調同定トレーニングを実施し,調に関するマッピングを利用する試みを行ったところ,一般群にも色聴に似た現象が観察された.この結果,一般群においても音と色のマッピングが潜在的に保有される可能性を示した.