著者
平野 太一 辻 隆宏 山崎 浩 津田 弘之
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.356-359, 2014 (Released:2014-03-29)
参考文献数
7

症例は36歳の女性。発熱,全身倦怠感と肝機能障害の精査で当院紹介受診となった。入院時末梢血で異型リンパ球の出現を認め,血清サイトメガロウイルス(CMV)特異的IgM陽性,CMVpp65抗原陽性であったことから,サイトメガロウイルス性単核球症と診断した。また,入院時に右の末梢性顔面神経麻痺を呈していたが,髄液所見は正常であり,他の神経学的異常を認めなかった。末梢性顔面神経麻痺に対し,短期間のステロイドの内服を行い,徐々に顔面神経麻痺の改善を認めた。1ヶ月後には末梢性顔面神経麻痺は軽快し,血清中CMV-DNAは検出感度以下となり,CMV-IgG陽性化を確認した。EBウイルスによる伝染性単核症と顔面神経麻痺合併例の報告は散見されるが,サイトメガロウイルスによる合併例は極めて稀であり,ここに報告する。