著者
平野 太一 田中 文英
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.3Yin209, 2022 (Released:2022-07-11)

SNSの誹謗中傷の抑制は,つらい思いをする人を減らすために重要である.日本政府は侮辱罪の罰則強化に乗り出しているが,未だ施行日は不透明である.また,注意喚起メッセージを表示する試みがなされている.しかし,誹謗中傷の根本的かつ長期的な抑制には,投稿者自身の意識・行動変容が不可欠だと考える.そこで,快感の源を誹謗中傷から感謝に変える手法を検討する.具体的には,投稿者がポジティブなメッセージを投稿し,相手からポジティブな返信を受け取るのが気持ち良いと実感させるものである.そのために,エージェント(笑顔の投稿者)がネガティブなメッセージに含まれる誹謗中傷ワードをポジティブな言葉に変換する.また,架空の相手からのポジティブな返信メッセージを自動的に生成し,投稿者に向けて通知する.本稿では,初期開発の概要と進捗状況を報告する.
著者
平野 太一 辻 隆宏 山崎 浩 津田 弘之
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.356-359, 2014 (Released:2014-03-29)
参考文献数
7

症例は36歳の女性。発熱,全身倦怠感と肝機能障害の精査で当院紹介受診となった。入院時末梢血で異型リンパ球の出現を認め,血清サイトメガロウイルス(CMV)特異的IgM陽性,CMVpp65抗原陽性であったことから,サイトメガロウイルス性単核球症と診断した。また,入院時に右の末梢性顔面神経麻痺を呈していたが,髄液所見は正常であり,他の神経学的異常を認めなかった。末梢性顔面神経麻痺に対し,短期間のステロイドの内服を行い,徐々に顔面神経麻痺の改善を認めた。1ヶ月後には末梢性顔面神経麻痺は軽快し,血清中CMV-DNAは検出感度以下となり,CMV-IgG陽性化を確認した。EBウイルスによる伝染性単核症と顔面神経麻痺合併例の報告は散見されるが,サイトメガロウイルスによる合併例は極めて稀であり,ここに報告する。
著者
河上 栄一 佐藤 孝志 平野 太一 堀 達也 筒井 敏彦
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.495-500, 2004-05-25
被引用文献数
1 4

犬の前立腺由来の精子結合糖蛋白質と精子の受精能獲得との関連を調べる目的で,3頭の射精精液および摘出した精巣上体尾部の割面をスライド・グラスに塗抹し,7種類のFITC-レクチン(Con A, DBA, GS-1, PHA-E, PSA, UEA-1, WGA)でそれらの塗抹精子の蛍光染色を行った.その結果,精巣上体尾部精子を全く蛍光染色せず,全ての射精精子を染色したレクチンは,PHA-Eのみであった.そこで,別の犬5頭の射精精子を発情犬の子宮角または卵管を潅流した液中で4時間培養し,活力ある精子およびhyperactivated sperm(HA-精子)の割合を調べた.さらに,PHA-E結合精子の割合および蛍光Ca indicatorを用いてCaを取り込んだ精子の割合も調べた.培養開始後4時間における子宮および卵管潅流液中の活力ある精子%,HA-精子%およびCa取り込み精子%の平均値は,潅流液無添加培養液中のそれらの値に比較して,いずれも有意に高かった(P<0.05,0.01).逆に,PHA-E結合精子%は,有意に低値であった(P<0.01).また,PHA-E非結合精子%とHA-精子%の間およびCa取り込み精子%の間に,それぞれ正の相関関係が認められた(r^2=0.787, r^2=0.812).本実験成績から,犬の前立腺から分泌された糖蛋白質の精子表面からの消失が,精子内へのCa流入を促進し,それによりhyperactivationが高率に誘起されると推察された.