著者
山崎 浩司 木原 雅子 木原 正博
出版者
The Japanese Society for AIDS Research
雑誌
日本エイズ学会誌 (ISSN:13449478)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.121-130, 2005-05-20 (Released:2010-07-21)
参考文献数
23

目的: 若者に対するエイズ予防介入プロジェクトの一環として, 地方A県の女子高校生が, なぜ性交渉時にコンドームを使わないようになってしまうのかを質的研究法を用いて分析する.対象と方法: A県の女子高校生41名に対し, フォーカス・グループ・インタビューを8グループ実施した. 対象者として, 交際相手を有すると思われる友人同士6名前後を, スノーボール・サンプリングによりリクルートした. 分析は修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを使った.結果: 対象者は「治る性病より直らない妊娠」をより心配しているにも係わらず, 実際のコンドーム「使用は相手次第」であり, 結果的に膣内・膣外射精を繰り返し, それでも簡単には妊娠しないことを経験的に学習して「独自の避妊意識」を形成し, コンドーム不使用を定着させていた. また, 交際相手が社会人の場合は「妊娠してもかまわない」と考えたり, コンドーム購入を恥ずかしさ等による「購入阻害」要因により回避したり, 不快経験から「コンドーム嫌悪」に陥ったりして, 不使用に至っていた. さらに, 対象者が仮にSTDに関心を抱いても, 入手できる「予防学的情報の不足」から, コンドームを使わない「独自の予防認識」を形成し, やはり不使用に終っていた.結論: コンドーム不使用における相互作用プロセスを含む若者の多様な性文化の把握なしでは, 包括的なエイズ予防法を開発しがたい可能性が示唆された.
著者
中野 由章 久野 靖 佐久間 拓也 谷 聖一 筧 捷彦 村井 純 植原 啓介 中山 泰一 伊藤 一成 角田 博保 鈴木 貢 辰己 丈夫 永松 礼夫 西田 知博 松永 賢次 山崎 浩二
雑誌
第57回プログラミング・シンポジウム予稿集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.155-169, 2016-01-08

わが国の初等中等教育における情報教育は多くの問題を抱えているが,その中に「どのような評価を行うのがよいかの合意がない」「大学入学試験において情報の内容が出題されることが少ない」という点が挙げられる.筆者らは情報入試研究会として2012 年からこの問題に取り組み,シンポジウムなどを通じて各大学に情報の出題を促すとともに,望ましい情報入試の問題について探究し,公開模擬試験を通じてデータを収集してきた.本発表では,情報入試研究会の活動について紹介するとともに,作題に関する考え方,公開模擬試験で使用した問題や試験結果について紹介し,望ましい情報入試のあり方について議論する.
著者
山崎 浩一
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネスassocie (ISSN:13472844)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.66-69, 2012-05

数年前、マンガ研究のために来日したというドイツ人留学生からひょんな経緯で「論文のための取材」を申し込まれた際、こんな質問を受けた。「たとえば『デスノート』や『寄生獣』のように難解なテーマを扱う作品が少年誌に掲載されて、しかも絶大な人気を博すなんて日本以外では考えられない。なぜ日本だけでこんなことが可能になったのだろうか?」と。
著者
小林 洋平 山岡 怜央 三上 龍生 山崎 浩二郎 熊井 正貴 山田 武宏 武隈 洋 菅原 満 井関 健
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.771-779, 2020-12-28 (Released:2020-12-28)
参考文献数
14

目的:救急/ 集中治療室(以下,ICU)における薬剤師介入の実態や医療経済効果を明らかにすることを目的とした。方法:2017年7,8月に,救急科に入院した患者を対象とし,疑義照会記録を用いて後方視的に調査した。薬学的知識を要しない介入を単純エラー,薬学的知識を要する介入を薬学的介入と定義し,介入の内容および処方反映率を調査した。また,能動的な薬学的介入(薬剤師からの提案)に関して医療経済効果を算出した。結果:介入は391件あり,そのうち76%(297件)が薬学的介入であった。薬学的介入では,抗微生物薬関係の介入がもっとも多く117件(反映率91%)であった。また,医療経済効果は,2カ月間で3,832,000 円であった。結論:薬剤師の救急/ICUへの参画は,医療経済的に有益であることが明らかとなった。また抗微生物薬関係の介入が多く,今後プロトコル作成などにより適正使用推進に寄与できると示唆された。
著者
山崎 浩 夛田 浩 関口 幸夫 青沼 和隆
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.43, no.SUPPL.2, pp.S2_136-S2_143, 2011 (Released:2012-12-05)
参考文献数
11

四肢および体幹の皮膚硬化を認める全身性強皮症にて加療中の38歳, 男性. 夕食後に数分間の失神発作を認め当院に緊急搬送された. 精査にて, 著明な右室拡大と壁運動の低下, 多源性心室性期外収縮の頻発および加算平均心電図にて遅延電位陽性であり不整脈源性右室心筋症類似の病態が明らかとなった. 電気生理学的検査にて血行動態の破綻する心室頻拍が誘発されたために, 1次予防目的で植込み型除細動器(ICD)を挿入, ならびにソタコール内服で経過観察としたが, 約4カ月後にelectrical stormによるICDの頻回作動を認め再入院となった. トロポニンTの持続高値, QRS幅の拡大, 右室壁運動のさらなる低下の所見から, 右室心筋障害の急速な進行が示唆された. 抗不整脈薬による頻拍のコントロールは困難と考え, 緊急のカテーテル焼灼術を施行した. 右室流出路近傍に認められた心室瘤を最早期とする非持続性心室頻拍が頻発しており, 右室内からの焼灼により, 頻拍は抑制された. 全身性強皮症の皮膚硬化に対するシクロフォスファミドによるパルス療法後に, 持続高値を示していたトロポニンTが正常化した経過より, 不整脈源性右室心筋症類似の心病変は自己免疫機序による慢性心筋炎が原因と考えられた. 本例は失神を契機に発見された不整脈源性右室心筋症類似病態を呈した全身性強皮症の稀な1例と考えられたので, 文献学的考察を加え報告する.
著者
山崎 浩史 藤枝 正輝 冨樫 正浩 Ujjin Pailin 中山 佳都夫 斎藤 鉄也 鎌滝 哲也
出版者
日本薬物動態学会
雑誌
日本薬物動態学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.18, pp.23, 2003

【目的】トリメチルアミン(TMA)は,肝によって臭いの少ないTMA N-oxide(TMAO)に大部分が変換され,主に尿に排泄される.この肝の変換酵素であるフラビン含有モノオキシゲナーゼ(FMO3)の遺伝的多型に伴う機能低下によって,未変化体TMAが尿,汗および呼気などに排泄され,不快な体臭を引き起こす.魚臭症候群(TMA尿症)に関しての欧米での広範な研究に対し,アジアでのTMA尿症の報告例はほとんどない.そこで,本疾患に対する科学的対処方法を確立することを目的とし,タイ人と日本人における尿中のTMA排泄を測定し, 食品成分のTMA排泄に及ぼす影響やFMO3の遺伝子多型を調べた.【方法】タイ人男性1名は,呼気の臭気の判定から医師によって,TMA尿症と診断された.日本人は,自己申告によって, TMA尿症が疑われる被験者と健常対照群を用いた.GC-FIDを用いて尿中の総TMAとTMAを測定し,TMA代謝効率をTMAO/(TMA+TMAO)とした.【結果および考察】タイ人6名および日本人健常人20名のTMAの代謝効率は95%以上であった.一方,魚臭症候群と診断されたタイ人の尿中TMA代謝効率は91%であった.尿での代謝効率が70-90%を示し,魚臭症候群が疑われる日本人7人を見出した.血液検査の結果,乳酸脱水素酵素値と尿中TMA代謝効率とに逆相関が認められた.経口摂取した活性炭や銅クロロフィリンがTMA代謝効率を改善させることも見出した.タイ人魚臭症候群患者は,FMO3のTMA N-酸化反応のVmax/Kmを低下させる新規遺伝子変異(G265A)のヘテロ接合体であった.日本人から新規C613T変異遺伝子を検出した.以上の結果から,青年期から発症する魚臭症候群は,肝機能障害,食事およびFMO3新規遺伝子多型の影響など,複合した原因による可能性が示唆された.
著者
土井 陸雄 伊藤 亮 山崎 浩 森嶋 康之
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.1066-1078, 2003 (Released:2014-12-10)
参考文献数
78
被引用文献数
1

目的 わが国における単包虫症(単包性エキノコックス症)患者発生の歴史を検討し,その発生要因,予防対策,臨床的対策を検討する。方法 既刊の関係論文・抄録,医学中央雑誌,病理剖検輯報,感染症発生動向調査週報,と畜関連法規,日本帝国統計年鑑,食肉文化・皮革およびと畜場の歴史に関する資料を原資料として,単包虫症患者の発生動向を把握し,畜産,と畜関連法規およびと畜場管理の実態との関係を考察した。結果 わが国における単包虫症患者発生76例を確認した。患者発生は屠場法施行を境として大きく 2 時期に分かれ,屠場法以前には九州,四国,中国地方を中心に単包条虫の感染環が存在していたこと,またそれが軍備増強のための畜産奨励や日清・日露戦争を始めとする中国大陸との人的物的交流と深く関係していたこと,次に屠場法施行後,と畜場衛生管理の整備と不衛生な小規模と畜場の整理統合が行われ,日本国内における患者発生が激減したことなどが示唆された。ただし,この時期に中間宿主(牛およびヒト)からは単包虫症が発見されているが,終宿主(犬)から単包条虫を検出した報告がないため,屠場法施行が単包虫症患者発生減少の原因となったことを示す科学的実証はない。戦後も一時的に国内感染と思われる少数の単包虫症患者発生はあるが,近年は患者の大部分が海外の単包虫症流行域に滞在したことのある日本人および外国人である。結論 単包条虫の感染環を駆逐し,ヒト患者発生を予防するには,と畜場の衛生管理がとくに重要である。近年の海外流行国からの来日外国人の発症に対しては,検査機関の整備と医療情報の周知が重要である。また,海外の流行国から無検疫で輸入されている畜犬に対してエキノコックス検疫体制の整備が急務である。
著者
飛松 敬二郎 山崎 浩之
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2015-CE-129, no.12, pp.1-12, 2015-03-14

工学院大学では 2013 年 9 月から情報処理演習室で仮想デスクトップの運用を開始した.全学部の 1 年生の情報基礎教育科目を初め,演習室を利用する他の多くの専門教育科目も仮想 PC を利用する形態に移行し,授業時の安定したデスクトップ環境の利用が実現している.本稿では本学における仮想化基盤の概要と仮想デスクトップ環境および教育利用の現状を報告する.
著者
山崎 浩 倉持 利明
出版者
国立感染症研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

南米チリは世界有数の養殖サケ・マスの生産国であり、わが国はそのサケ・マスの主要な消費国である。チリに分布するサケ・マスにはヒトに寄生する裂頭条虫の感染が知られており、これらのサケ・マスを感染源とする裂頭条虫症の発生が懸念されている。本研究では、チリ南部のプエルト・モンのジャンキウエ湖、ならびにパンギプジ湖に生息するサケ属や在来魚における裂頭条虫幼虫の寄生状況等を調査した。その結果、ギンザケやニジマスに多数の裂頭条虫幼虫の感染が確認され、筋肉内からも幼虫が検出されたことから、チリでは広節裂頭条虫による感染源がサケ類と推定された。
著者
坪内 暁子 奈良 武司 丸井 英二 内藤 俊夫 加藤 聖子 重松 美加 山崎 浩 FAN Chia-kwung CHANG Nen-chung Chang LEE Yunarn-jang CHANG Yu-sai TSAI Ming-dar JI Dar-der SUKATI Hosea Mlotshwa TU Anthony T.
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

台湾、日本、サントペ・プリンシペでの調査の結果、台湾と日本では医学生であっても感染経路や被害の状況を正確に把握していない、治療に関し最新の正しい情報がないため恐怖心がある、台湾の調査では「対策」の講義の機会のある公衆衛生学科の学生のほうが医学科の学生よりも正確に理解していること等がわかった。HIV/AIDSが日本国内に入って来て約20年が経過したが、新規感染者数は増加傾向にあり低年齢化してきている。日和見感染症や喫煙との関係が深いことは後述する調査で明らかとなった。HIV/AIDSの感染経路となるDrugや喫煙と併せて、正しい基礎知識と予防策を学校教育の中で教えていくことが重要である。
著者
川合 覚 石原 優吾 笹井 貴子 高橋 史成 桐木 雅史 林 尚子 山崎 浩 平石 秀幸 千種 雄一 Satoru Kawai Yugo Ishihara Takako Sasai Fuminari Takahashi Masashi Kirinoki Naoko Kato-Hayashi Hiroshi Yamasaki Hideyuki Hiraishi Yuichi Chigusa
雑誌
Dokkyo journal of medical sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.189-192, 2013-10-25

埼玉県在住の男性・64 歳.2012 年11 月初旬,近医で日本海裂頭条虫症の診断を受け,駆虫目的で本院消化器内科を紹介受診.外来で駆虫治療したところ,全長約250 cm の白色紐状で,全体的に肉厚感のある虫体を排出した.虫体は形態学的特徴より日本海裂頭条虫ではなく,クジラ複殖門条虫が強く疑われたため,遺伝子解析を行った.PCR によって増幅されたcytochrome c oxidase subunit 1 遺伝子(cox1)の全長塩基配列を解析したところ,既知のクジラ複殖門条虫の塩基配列と99%の相同性を示したことから,本症例はクジラ複殖門条虫症と確定した.該当患者は,便に白色紐状物が混入する2〜3 か月前に,生シラスを生食しており,これが感染源となった可能性が高いと考えられた.