著者
池 睦美 中村 勝 小西 健一 津畑 豊 五十嵐 宏三 齋藤 徳子 森岡 哲夫 島田 久基
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.561-570, 2021 (Released:2021-11-28)
参考文献数
19

【背景】透析患者において睡眠障害の訴えの頻度は高いものの,その実態については十分に解明されていない.【目的・方法】透析患者の睡眠評価のため,維持血液透析患者41名に自記式ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)による主観的評価とアクチグラフによる客観的評価を行った.【結果】PSQIでは,睡眠薬群では全例,睡眠薬なし群でも40%が睡眠障害ありと判定された.アクチグラフでは,入眠障害・中途覚醒の指標が不良で,総睡眠時間が短縮していた.睡眠薬なし群は,睡眠薬群より中途覚醒が多く,これは日中の覚醒困難の訴えと関連していた.【考察】健常人の報告例と比較し,主観では中途覚醒が頻回で,客観には入眠障害を示し中途覚醒も頻回であった.【結論】透析患者の睡眠は不良であり,睡眠薬の服用は中途覚醒に一部奏効しているが,入眠障害は残っている.睡眠薬なし群では入眠障害の訴えが表れにくく,日中覚醒困難を伴う中途覚醒とともに問題となる.
著者
津畑 豊 田邊 繁世 安城 淳哉 津畑 千佳子 秋山 史大
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.42, no.9, pp.687-693, 2009-09-28

【背景】近年,患者自己決定権の尊重や終末期医療におけるさまざまな問題とともに事前指示書への関心が高まっているが,その管理運用には経時的な意思確認や更新,判断能力判定など解決すべき問題が多い.透析施設と生涯関係を持ち続ける透析患者ではそれらの問題点の多くを解決できると考え,透析患者が事前指示書の対象として適しているか検討するため当院維持血液透析患者(透析群)と当院外来に通院する保存期慢性腎臓病患者(非透析群)に対して終末期医療に関する意識調査を行った.【対象と方法】2009年1月および3月に透析群85名および非透析群96名に対して無記名,回答選択方式の意識調査を行った.【結果】事前指示書を知っていたのは透析群22.6%,非透析群11.1%で透析群に多く(p=0.022),機会があれば事前指示書を書いてみたい人は透析群48.8%,非透析群41.8%であった.終末期になったときのことについて誰かと話し合ったことがある人は透析群21.7%,非透析群19.8%であった.また意思疎通ができなくなり回復不能と判断された際の人工栄養の希望有無いずれかの意思を示した人は透析群54.6%,非透析群22.5%で透析群に多く(p=0.001),透析群において上記状況での透析治療継続もしくは中止の希望を示した人は60.7%であった.【結論】透析群での事前指示書作成希望者は約5割に達し,終末期医療について自身の希望を示せる人が非透析群より多く認められることから,透析患者は事前指示書の対象として適していると考えられた.