- 著者
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津畑 豊
田邊 繁世
安城 淳哉
津畑 千佳子
秋山 史大
- 出版者
- The Japanese Society for Dialysis Therapy
- 雑誌
- 日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy (ISSN:13403451)
- 巻号頁・発行日
- vol.42, no.9, pp.687-693, 2009-09-28
【背景】近年,患者自己決定権の尊重や終末期医療におけるさまざまな問題とともに事前指示書への関心が高まっているが,その管理運用には経時的な意思確認や更新,判断能力判定など解決すべき問題が多い.透析施設と生涯関係を持ち続ける透析患者ではそれらの問題点の多くを解決できると考え,透析患者が事前指示書の対象として適しているか検討するため当院維持血液透析患者(透析群)と当院外来に通院する保存期慢性腎臓病患者(非透析群)に対して終末期医療に関する意識調査を行った.【対象と方法】2009年1月および3月に透析群85名および非透析群96名に対して無記名,回答選択方式の意識調査を行った.【結果】事前指示書を知っていたのは透析群22.6%,非透析群11.1%で透析群に多く(p=0.022),機会があれば事前指示書を書いてみたい人は透析群48.8%,非透析群41.8%であった.終末期になったときのことについて誰かと話し合ったことがある人は透析群21.7%,非透析群19.8%であった.また意思疎通ができなくなり回復不能と判断された際の人工栄養の希望有無いずれかの意思を示した人は透析群54.6%,非透析群22.5%で透析群に多く(p=0.001),透析群において上記状況での透析治療継続もしくは中止の希望を示した人は60.7%であった.【結論】透析群での事前指示書作成希望者は約5割に達し,終末期医療について自身の希望を示せる人が非透析群より多く認められることから,透析患者は事前指示書の対象として適していると考えられた.