著者
津留 宏
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.12-20, 1956-06-30

小学校五年生を通してみた603世帯,約3500名の家族相互の称呼において,比較的多数を占めた呼び方は次の通りである。夫→妻1.名前の呼び捨て(45%)2.「お母ちやん」「お母さん」(合せて29%)妻→夫「お父さん」「お父ちやん」(合せて73%)子→父1.「お父ちやん」(67形)2.「お父さん」(27%)子→母1.「お母ちゃん」(78%)2.「お母さん」(18%)父→子1.名前の呼び捨て(83%)2.名前または略名に「ちゃん」付け(13%)母→子1.名前の呼び捨て(67%)2.右前または略名に「ちゃん」付け(27%)「おじいさん」「おじいちゃん」(合せて70%)母→祖父「おじいさん」「おじいちゃん」(合せて80%)父→祖母「おばあさん」「おぱあちゃん」(合せて70%)母→祖母「おばあさん」「おぱあちやん」(合せて80%)祖父→父1.名前の呼び捨て(60%)2.「お父さん」「お父ちゃん」(合せて25%)祖母→父1.名前の呼び捨て(44%)2.「お父さん」「お父ちゃん」(合せて40%)祖父→母1.名前の呼び捨て(80%)2.「お母さん」「お母ちゃん」(合せて24%)祖母→母1.名前の呼び捨て(63%)2.「お母さん」「お揖ちゃん」(合せて10%)兄→弟1.名前の呼び捨て(71%)2.名前または略名に「ちゃん」付け(23%)姉→弟1.名前の呼び捨て(60%)2.名前または略名に「ちやん」付け(32%)兄→妹1.名前の呼び捨て(66%)2.名前または略名に「ちゃん」付け(32%)姉→妹1.名前の呼び捨て(55%)2.名前または略名に「ちゃん」付け(43%)弟→兄1.「兄ちゃん」「お兄ちゃん」またはこれの付くもの(合せて62%)2.名前または略名に「ちゃん」付け(17%)妹→兄1.「兄ちゃん」「お兄ちゃん」またはこれの付くもの(合せて59%)2.名前または略名に「ちゃん」付け(22%)弟→姉1.「姉ちゃん」「お姉ちゃん」またはこれの付くもの(合せて63%)2.名前また略名に「ちゃん」付け(17%)妹→姉1.「姉ちゃん」「お姉ちゃん」またはこれの付くもの(合せて68%)2.名前または略名に「ちやん」付け(20%)尚,調査結果全般を通し次のような傾向が看取される。1 夫婦間の称呼は一般に甚だ不明確であり,持に妻→夫の場合は暖昧である。多くは子が父を呼ぶ呼び方を借りている。2 一般標準語とされる子→父母の「お父さん」「お母さん」,弟妹→兄姉の「兄さん」「姉さん」は意外に少い。一般に家族間は「さん」よりは「ちゃん」付けが多い。但し「おじいさん」「おばあさん」はこの限りでない。3 夫婦間及び子,祖母の父に対する称呼よりみて,同母よりは父に対して敬意が強い。4 きょうだい間の呼び方は,よく家庭の教育的配慮の如何を反映している。5 農村には全く不当な称呼がかなりみられる。住宅地にはこれがない。一般に敬称の点では農林工業地がより乱れている。6 家族称呼は一般に子供本位の呼び方になろうとする。日本の家庭の子供本位的性格を表わしている。7 家族称呼にも明らかに過渡期的様相がみられる。即ち従来の標準的な家族称呼が崩れて新しい称呼が生じつつある。旧い称呼の権威的,序列的,形式的なものが,より平等的,人間的,親愛的な呼び方にとって代わられようとしている。恐らくこれは家族制度の変化と共に,封建的家族意識の減退,個人意識の昂揚等によるものであろう。8 尤も農村と住宅地の一部では標準的な称呼に尚,.関心が強いようにみえる。これは次のように解せられる。即ち日本の家族称呼の標準語はやや保守的たものであるが,農村はその家族制度の保守性からこれを残し,住宅地の知識階級では保守的というのではなくむしろ教育的配慮から標準語に依ろうとしているのであろう。従って両方の性格を欠く商工地では最も称呼の乱れがみられるのである。以上,家族称呼は日本の現下の家族関係の特徴のいくつかを示唆したが,こうした大きな問題については,これはやはり補助資料的にとどまるものと思われる。
著者
津留 宏
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.12-20,61, 1969-10-15 (Released:2013-02-19)

小学校五年生を通してみた603世帯, 約3500名の家族相互の称呼において, 比較的多数を占めた呼び方は次の通りである。夫→妻1. 名前の呼び捨て (45%) 2. 「お母ちやん」「お母さん」 (合せて29%)妻→夫1. 「お父さん」「お父ちやん」 (合せて73%)子→父1. 「お父ちやん」 (67%) 2. 「お父さん」 (27%)子→母1. 「お母ちやん」 (78%) 2. 「お母さん」 (18%)父→子1. 名前の呼び捨て (83%) 2. 名前または略名に「ちやん」付け (13%)母→子1. 名前の呼び捨て (67%) 2. 名前または略名に「ちやん」付け (27%)父→祖父「おじいさん」「おじいちやん」 (合せて70%)母→祖父「おじいさん」「おじいちやん」 (合せて80%)父→祖母「おばあさん」「おばあちやん」 (合せて70%)母→祖母「おばあさん」「おばあちやん」 (合せて80%)祖父→父1. 名前の呼び捨て (60%) 2. 「お父さん」「お父ちやん」 (合せて25%)祖母→父1. 名前の呼び捨て (44%) 2. 「お父さん」「お父ちやん」 (合せて40%)祖父→母1. 名前の呼び捨て (80%) 2. 「お母さん」「お母ちやん」 (合せて24%)祖母→母1. 名前の呼び捨て (63%) 2. 「お母さん」「お母ちやん」 (合せて10%)兄→弟1. 名前の呼び捨て (71%) 2. 名前または略名に「ちやん」付け (23%)姉→弟1. 名前の呼び捨て (60%) 2. 名前または略名に「ちやん」付け (32%)兄→妹1. 名前の呼び捨て (66%) 2. 名前または略名に「ちやん」付け (32%)姉→妹1. 名前の呼び捨て (55%) 2. 名前または略名に「ちやん」付け (43%)弟→兄1. 「兄ちやん」「お兄ちやん」またはこれの付くもの (合せて62%) 2. 名前または略名に「ちやん」付け (17%)妹→兄1. 「兄ちやん」「お兄ちやん」またはこれの付くもの (合せて59%) 2. 名前または略名に「ちやん」付け (22%)弟→姉1. 「姉ちやん」「お姉ちやん」またはこれの付くもの (合せて63%) 2. 名前または略名に「ちやん」付け (17%)妹→姉1. 「姉ちやん」「お姉ちやん」またはこれの付くもの (合せて68%) 2. 名前または略名に「ちやん」付け (20%)尚, 調査結果全般を通し次のような傾向が看取される。1夫婦間の称呼は一般に甚だ不明確であり, 特に妻→夫の場合は瞹眛である。多くは子が父を呼ぶ呼び方を借りている。2一般標準語とされる子→父母の「お父さん」「お母さん」, 弟妹→兄姉の「兄さん」「姉さん」は意外に少い。一般に家族間は「さん」よりは「ちやん」付けが多い。但し「おじいさん」「おばあさん」はこの限りでない。3夫婦間及び子, 祖母の父に対する称呼よりみて, 尚母よりは父に対して敬意が強い。4きようだい間の呼び方は, よく家庭の教育的配慮の如何を反映している。5農村には全く不当な称呼がかなりみられる。住宅地にはこれがない。一般に敬称の点では農村, 工業地がより乱れている。6家族称呼は一般に子供本位の呼び方になろうとする。日本の家庭の子供本位的性格を表わしている。7家族称呼にも明らかに過渡期的様相がみられる。即ち従来の標準的な家族称呼が崩れて新しい称呼が生じつつある。旧い称呼の権威的, 序列的, 形式的なものが, より平等的, 人間的, 親愛的な呼び方にとつて代わられようとしている。恐らくこれは家族制度の変化と共に, 封建的家族意識の減退, 個人意識の昂揚等によるものであろう。8尤も農村と住宅地の一部では標準的な称呼に尚, 関心が強いようにみえる。これは次のように解せられる。即ち日本の家族称呼の標準語はやや保守的なものであるが, 農村はその家族制度の保守性からこれを残し, 住宅地の知識階級では保守的というのではなくむしろ教育的配慮から標準語に依ろうとしているのであろう。従つて両方の性格を欠く商工地では最も称呼の乱れがみられるのである。
著者
津留 宏
出版者
金子書房
雑誌
児童心理 (ISSN:0385826X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.6, pp.734-738, 1961-06
著者
赤川 安正 市川 洋一郎 久保 隆靖 相良 正明 永金 幸治 里見 圭一 橋本 正毅 津留 宏道
出版者
広島大学歯学会
雑誌
広島大学歯学雑誌 (ISSN:00467472)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.227-234, 1992-12-01
被引用文献数
2

本論文の要旨は平成4年8月2日日本口腔インプラント学会中国四国支部総会において発表した。本論文は,広島大学歯学部附属病院において行われた京セラ株式会社からの受託臨床研究における治験症例の観察結果をまとめたものである。