著者
小田切 康彦 浅野 令子
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.15-23, 2009-07

論説(Article)NPOの財政基盤の弱さが指摘される日本においては、近年、組織や活動を持続させるためのNPOの経営モデルをいかに示すかが研究の焦点となっている。本稿では、こうした研究への貢献を企図し、滋賀県のNPO法人の財務データを用いて、その財政上の特性を議論した。具体的には、NPOの収入構造の実態確認とその類型化を行うことを通じて、収入構造にいかなる特徴があるのか、探索的に分析した。分析によって得られた主な結果および知見は次の通りである。(1)滋賀県のNPO法人の経常収入は、全国的な調査結果と比較すると比較的小規模な団体で占められている。また、経常収入に占める事業収入の割合が低く、その他の各収入の割合が高い傾向にある。(2)会費・入会金収入、寄付金収入、事業収入、補助・助成金収入、その他収入、が経常収入に占める比率を基にしたクラスター分析および主成分分析によって、NPOの収入構造は「会費・入会金型」「寄付型」「事業型」「分散型」の4つに分類される。(3)分散型は、すべての収入を均等的に保持する特徴を持つ。また、他のクラスターに比べ確保している財源の数が多く、また、一定の財政規模もある。この分散型の特性を持つ団体の存在は、多様な財源を獲得できる組織の有り様を示している可能性があり、NPOの組織や活動の持続性を考えるうえで非常に重要といえる。
著者
浅野 令子 鈴木 一夫
出版者
社団法人 日本循環器管理研究協議会
雑誌
日本循環器管理研究協議会雑誌 (ISSN:09147284)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.172-178, 1991-01-30 (Released:2009-10-15)
参考文献数
15

秋田県で扱っている既存の保健情報を解析し, 喫煙習慣, 飲酒習慣, 肥満について高血圧や脳卒中の危険因子としての評価をした。脳卒中の全ての病型で高血圧を有する人は相対危険度が有意に高い。40~70歳代全体での病型別オッズ比をみると, 男の飲酒習慣は脳出血, 喫煙習慣は脳梗塞で高い。女では飲酒, 喫煙習慣を持つ人は全ての脳卒中病型で高い。飲酒習慣と肥満は確実に血圧を上昇させる。一方, 喫煙習慣は血圧を上昇させず, 喫煙習慣を持たない人より常に低値をとった。この傾向は男女に共通してみられた。飲酒は血圧を確実に上昇させ, 脳出血やくも膜下出血には促進的に働いたと思われる。喫煙は血圧を低下させる事から脳出血に対して抑制的に働く可能性がある。一方, 脳梗塞を増大させ, さらにくも膜下出血に対してなんらかの促進的役割を果たしていると思われる。