著者
浅野 令子 鈴木 一夫
出版者
社団法人 日本循環器管理研究協議会
雑誌
日本循環器管理研究協議会雑誌 (ISSN:09147284)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.172-178, 1991-01-30 (Released:2009-10-15)
参考文献数
15

秋田県で扱っている既存の保健情報を解析し, 喫煙習慣, 飲酒習慣, 肥満について高血圧や脳卒中の危険因子としての評価をした。脳卒中の全ての病型で高血圧を有する人は相対危険度が有意に高い。40~70歳代全体での病型別オッズ比をみると, 男の飲酒習慣は脳出血, 喫煙習慣は脳梗塞で高い。女では飲酒, 喫煙習慣を持つ人は全ての脳卒中病型で高い。飲酒習慣と肥満は確実に血圧を上昇させる。一方, 喫煙習慣は血圧を上昇させず, 喫煙習慣を持たない人より常に低値をとった。この傾向は男女に共通してみられた。飲酒は血圧を確実に上昇させ, 脳出血やくも膜下出血には促進的に働いたと思われる。喫煙は血圧を低下させる事から脳出血に対して抑制的に働く可能性がある。一方, 脳梗塞を増大させ, さらにくも膜下出血に対してなんらかの促進的役割を果たしていると思われる。