- 著者
-
浅野 俊夫
- 出版者
- 京都大学
- 雑誌
- 試験研究
- 巻号頁・発行日
- 1984
1。本年度は、試験研究の最終年度に当たるので、59・60年度に開発した装置類をニホンザルの小集団のケージに据え付け、改良と調整を行った。2。まず、自動給餌装置の改良・調整を行った。給餌窓の大きさがおおき過ぎると一度に二つの固形飼料を取られてしまうことが分かったので、窓の大きさを調整した。また、固形飼料の自重のみに頼ると補給路がつまり、呈示窓に餌が落ちて行かないことが分かったので、偏心モーターによる振動を与える機構を付加し、落下を促すようにした。さらに、呈示窓部への手の出し入れは光ビームで検出し、一度手を放してもすぐに戻したときは、うまく餌が取れなかった時なので、手を離してから一定時間経過した時にのみ、呈示窓のシャッターが閉じるように改良した。3。自動個体識別装置は、センサー部には問題が無いが、サルにつける首輪の開発が難しく一応の試作には成功しているが、まだ完成に至らず、実際の実験に使いながら最終調整中である。首輪側には発信機を置かず、首輪に巻いたコイルの時定数を餌場に設定した磁場への影響で検出するという基本原理は期待どおりの成功を納めたが、コイルの巻いてある首輪をサルに脱着する機構が難しく、現試作品は一度着けたら外せない構造になっている。これでも十分に当初の目的には、かなっているが用途が限られるので改良が必要である。4。実験制御用に開発したMSXコンピュータ・システムは、すでに学内外で使用されており、インターフェース・ボードのプリント基板も数度の改訂を経て、完成品がいつでも入手出来る態勢が確立されている。ソフトウェアはBASIC言語を採用したので、誰でも容易に実験用プログラムを書くことが出来る。