著者
鈴木 篤 山分 規義 大坂 友希 島田 博史 浅野 充寿 村井 典史 鈴木 秀俊 清水 雅人 藤井 洋之 西崎 光弘 鈴木 誠 櫻田 春水 平岡 昌和
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.42, no.SUPPL.4, pp.S4_176-S4_183, 2010 (Released:2012-08-21)
参考文献数
12

症例は34歳, 男性. 生来健康であり, 突然死の家族歴なし. 4~5年前より心電図異常を指摘され, 2008年2月, 健診にて心室性期外収縮(PVC)およびST-T異常を指摘された. 同年3月下旬職員旅行の2日目, 朝食中にCPA(心室細動: VF)が発症し, AEDにより除細動され, 後遺症は認められなかった. 近医入院中の心電図にてcoved型ST上昇(type 1)を指摘され, Brugada症候群と診断されICD植え込み術を施行された. 2008年5月, 当科紹介受診. OGTT負荷により, IRI, および血糖値の上昇に伴い, coved型ST上昇が顕性化した. 12誘導Holter心電図記録では, 各食後においてV2誘導にてcoved型ST上昇が認められ, その程度は, 朝食後に特に強く認められた. 一方, PVCは1日中記録され, QRS波形は左脚ブロック型を呈していた. そこで後日, 朝, および昼禁食で同様に12誘導Holter心電図記録を行ったところ, 日中のPVCは著明に減少し, 朝食後, および昼食後に一致する時間帯の記録ではcoved型ST上昇は消失していた. PVCがVFのトリガーとなっている可能性を考え, カテーテルアブレーション治療を施行しPVCは軽減した.本例においてはST上昇, および心室性不整脈発生の増悪に食事が強く関与していた. 以上, Brugada症候群における致死的不整脈の自然発生機序を考慮するうえで, 夜間就寝中の発症ばかりでなく, 食事の影響も注目すべきと考えられた.
著者
狩野 実希 浅野 充寿 松村 穣 村松 賢一 佐藤 明 大和 恒博 武居 一康 新田 順一 淺川 喜裕 牛木 真理子 高橋 雅弥 木村 知恵里
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.329-335, 2013 (Released:2014-09-13)
参考文献数
18

症例は, 67歳, 男性. 数カ月前より繰り返す失神発作を認めていた. 2010年9月, 意識消失を主訴に救急要請し, ショック状態で当院に搬送された. 心臓超音波検査で全周性の心嚢液貯留と右心系の虚脱所見を認めたため, 心タンポナーデと診断し入院した. 数日後には自然吸収されたが, その後も心嚢液の再貯留と消失を繰り返した. 心嚢穿刺により心嚢液の性状は血性であったが, 出血源の同定は困難であった. 出血源同定ならびに心タンポナーデ解除目的に試験開胸を行った. 右室前面の心筋表面より断続的に静脈性の出血がみられ, 縫合止血した. 術後, 心嚢液の再貯留なく経過した. 急激な心嚢内出血により心タンポナーデを呈することは決して稀ではないが, 本症例のように心嚢への出血と吸収が数日単位で起こり, 繰り返し心タンポナーデを引き起こす病態は今まで報告がなく, 病態機序がはっきりしなかった. 非常に稀な経過をたどった特発性心嚢内出血の症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.