著者
原 昌道 飯村 穣 浜田 康太郎 大塚 謙一
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.12, pp.992-996, 1980-12-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
12

清酒 (Alc.10.0~14.5%) の表面におけるシェリー酒酵母の産膜の条件を検討したところ, 下記のような条件により清酒においても良好に産膜することがわかった。清酒への栄養分の強化として, ピオチン (2μg/l程度) とそれとの相乗効果を持つパントテン酸 (400μg/l程度) を添加すること, それにpHを3.5付近に調節することが必要であった。また, pHを調節する際に乳酸を用いること, 清酒に不足がちなK+ (250mg/l程度) を添加することも旺盛な皮膜を形成さぜるために有効であった。供試シェリー酒酵母6株とも良好に産膜したが, とりわけSF-1株とTOF-3株の2株は旺盛に産膜し, 生成酒の香味も良好であった。これらはいずれも培養温度15℃で最も良く産膜し, シェリー香も生成した。SF-1株を用いた小仕込試験の生成酒では, アセトアルデヒドの増加 (500~1,000ppm) が著しく, また有機酸の増加とアミノ酸の減少が見られた。