著者
浮葉 正親
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

磯貝治良の初期作品33篇と在日朝鮮人作家を読む会の同人誌『架橋』のバックナンバー(創刊号.第26号まで)を電子化し、ホームページ「ジローの文学マダン」を作成してインターネット上に公開した(http ://www. isojiro-yomukai. com)。また、磯貝の発表作品目録(1957年~ 2012年2月)、在日朝鮮人作家を読む会の活動記録(1977年. 2012年3月)、『架橋』総目次(創刊号.第31号)を収録した報告書『社会参加としての在日朝鮮人文学.磯貝治良とその文学サークルの活動を通して』(全100頁)を刊行した。その報告書には、磯貝の初期作品33篇を収録したCD「磯貝治良作品集1」を添付した。
著者
浮葉 正親
出版者
名古屋大学留学生センター
雑誌
名古屋大学日本語・日本文化論集 (ISSN:1348804X)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.1-18, 2013-03-29 (Released:2013-03-26)

本稿は、韓国、欧米、日本における在日朝鮮人文学(以下、「在日文学」と略す)の研究動向を並列的に紹介し、それぞれの地域における研究の特色を抽出することで、将来の共同研究の可能性を提示することを目的にしている。韓国では、1990年代から2000年代にかけて在日文学を「民族文学」として捉える国文学の分野での研究が盛んになった。その一方、日本文学の分野では2000年代後半から在日文学を「ディアスポラ文学」として捉え直す新しい動きが見られる。在日文学をディアスポラ文学として捉える視点は欧米でも共有されているが、欧米では柳美里など一部の作家の作品が紹介され始めたばかりである。日本における在日文学研究は過去5年間を見ても、資料の発掘や綿密な検証作業が行われているが、その成果は韓国や欧米での研究とほぼ接点がないまま行われているのが現状である。今後の共同研究に向けて必要なのは、朝鮮語ではなくホスト国の言語(例えば、日本語)で作品が発表されることの意味を考え直すこと、また「ディアスポラ」概念を人の移動の経験を生き生きと描き出すことができるものに更新していくことである。