著者
海渡 貴司 米延 策雄
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.260-265, 2014-12-30 (Released:2015-02-28)
参考文献数
8

関節リウマチ(RA)では,四肢関節病変のみならず,脊椎・特に上位頸椎に高率にRA病変を合併し,RA頚椎病変による疼痛・神経障害は日常生活制限のみならず生命予後にも影響する.RAの薬物治療は,メトトレキセート(MTX)をアンカードラッグとして生物学的製剤と併用することでパラダイムシフトとよばれる飛躍的発展を遂げた.疾患活動性を制御した臨床的寛解,そして関節破壊を抑制した構造的寛解を治療目標とすることで高い治療効果が報告されているが,生物学的製剤で報告された関節破壊抑制・修復効果は手足末梢の関節破壊評価指標に基づくものであり,特有の解剖学的構造・力学環境にある頚椎で同等の効果を期待できるかは明らかではない.本稿では,RAにおける頸椎病変の病態・画像診断・および現在の薬物治療体系における頚椎病変の意義・治療について概説する.
著者
藤原 啓恭 小田 剛紀 牧野 孝洋 森口 悠 米延 策雄 海渡 貴司
出版者
医学書院
雑誌
臨床整形外科 (ISSN:05570433)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.39-48, 2017-01-25

背景:関節リウマチ(RA)患者の疾患活動性が後方経路腰椎椎体間固定術(PLIF)後の固定隣接椎間障害(ASD)発生率に影響を与えるかを検討した. 対象と方法:2椎間以下のPLIFを施行し,2年間の経過観察が可能であった90例(RA患者22例,非RA患者68例)を対象とし,臨床・画像成績を調査した.RA患者は画像上ASD発生の有無により副分類し,術前の患者背景を比較検討した. 結果:画像上ASD発生率はRA患者30%(12/40椎間),非RA患者9%(11/121椎間)と有意差を認めた(P<0.05).画像上ASD発生の有無でRA群の患者背景に有意差を認めなかった. まとめ:RA患者では疾患活動性制御に関わらずASDが高率に発生した.