著者
今枝 紀明 目加田 博行 川合 昌子 海老沢 昭二 山崎 猛
出版者
Japan Poultry Science Association
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.21, no.5, pp.267-274, 1984

4および10月に白色レグホーン種とブロイラー各1銘柄を用い,入雛温度を標準的な35°Cから30°C,さらに25°Cまで低下させた場合のひなの発育体重,育成率,飼料摂取量ならびに飼料要求率に及ぼす影響について電熱バタリー育雛器と環境試験室を使用して調べた。さらに白色レグホーン種については,産卵成績と電熱バタリー育雛器内におけるひなの就寝状態および消費電力量を調べ,実用的な育雛温度の低減化について検討した。<br>30°C区の発育体重,育成率,飼料摂取量ならびに飼料要求率は,白色レグホーン種ブロイラーとも35°C区とほとんど差はなかったが,25°C区は35°C区や30°C区に比べ4週齢までの発育体重,育成率および飼料要求率が劣っており,育成率や飼料要求率には有意差が認められた。とくに育成率については,入雛1週間以内のへい死率が高く,給温期間中(0~4週齢)その影響が強く残った。しかし,9週齢の体重,育成率には,一定の傾向がみられなかった。また,25°C区の飼料摂取量は,4週齢まで他の2区と大差なかったが,4週齢以降多くなる傾向がみられた。<br>ひなの就寝状態は,30°C区ではとくに問題となる状態を示さなかったが,25°C区では入雛後4日までヒーター直下に群がっており,明らかに温度不足の状態を示していた。また,35°C区ではむしろ暑すぎる様子がうかがえた。<br>消費電力量は,入雛温度を5°C下げることによって81.4%,10°C低下させることにより86.7%の節約ができた。<br>産卵成績は,30°C区および25°C区ともに35°C区と大差なく,育雛温度の低減化による影響はみられなかった。
著者
木谷 隆 中島 芳夫 海老沢 昭二 古田 賢治
出版者
Japan Poultry Science Association
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.187-191, 1983-05-25 (Released:2008-11-12)
参考文献数
8

養鶏施設において高い消毒効果が得られる方法の開発を目的とし,その第一歩として,細菌による人工汚染物及び鶏糞による自然汚染物に消毒液を散布し,消毒効果を検討した。盲腸内容物を1/2量加えた培地でStaphylococcus aureusを培養し,その菌液を塗布乾燥した人工汚染検体,及び鶏舎に放置し主として鶏糞で汚染させた自然汚染検体に,4種類の化学的性質の異なる消毒剤(逆性石〓,ヨードホール,塩素剤,オルソ剤)を煙霧状にして散布消毒した。なお,使用した消毒液の濃度及び散布量は,各消毒剤の使用説明書の記載に従った。その結果,消毒液の散布による菌数の減少は1/10又はそれ未満の場合が多く,消毒液の種類又はその濃度による差は顕著でなかった。従来,消毒剤の効力は主として培養菌液を用いて評価され,その結果に基づいて濃度,散布量等の使用条件が定められているが,養鶏施設において効力を調べ,高い消毒効果を得るための使用条件を明らかにすることが急務であると考えられる。