著者
深井 有
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.354-360, 1993-05-05
参考文献数
22
被引用文献数
1
著者
深井 有
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.354-360, 1993-05-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
34
著者
深井 有 斎藤 好雄
出版者
中央大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1991

本年度は、当初の研究計画に基づいて平成二年度より引き続き、酸化物超伝導体に捕獲されたフラクソイド動特性の研究および高圧合成の可能性について研究を推進した。前者に対しては、特に粒間と粒内電流密度の評価法の確立およびビスマス系(2212相)単結晶の不可逆磁化の磁場及び温度依存性の研究を行った。一方、高圧合成については、銀添加されたイットリウム系にたいして高温(RT〜1000℃)高圧(1〜5GPa)下の処理効果の研究を行った。フラクソイド動特性の研究は、これまで研究成果を逐次JJAP、物理学会、応用物理学会等で報告してきたが、今年度は焼結体の粒間電流と粒内電流を分離する事に成功したので、その成果をM2SーHTSCで報告した。これは従来の方法に加えて、本年度購入したクライオスタット中でホ-ル素子を用いた局所磁化の測定を行うことによって分離を確実に行えるようになったものである。その結果、焼結体の電流密度の磁場及び温度依存性をより明確にする事が出来た。さらに、ビスマス系(2212相)単結晶について高温超伝導体におけるフラクソイド動特性の特徴のひとつである、不可逆磁化の温度依存性及び磁場依存性を限られた磁場温度領域ではあるが明らかにすることができ、本研究で開発した局所磁化及び局所残留磁化の測定法が有効であることを示すことが出来た。これらの成果については、上述のプロシ-ディングズ(Physica C)に一部が報告され、現在論文準備中である。一方、高圧合成は、種々の物質にたいして試みられているが、最近になってようやく興味ある結果が得られつつある。すなわち、高圧高温処理を施した銀添加イットリウム系試料についてインダクタンス測定などを行った結果、超伝導の体積分率が広い温度範囲にわたって、温度減少とともに直線的に増加することを見いだした。これは、粒界講造(及び粒径分布)やピンニング機構への銀添加効果によるものと考えられる。しかしながら、本研究の本来の目的である1)イットリウム系における粒間電流の増加や、2)ビスマス(2212相)へのピンニング中心の導入という観点からは、未だにめざましい成果は得られておらず今後の課題となっている。