- 著者
-
三村 憲弘
深谷 健
- 出版者
- 日本政治学会
- 雑誌
- 年報政治学 (ISSN:05494192)
- 巻号頁・発行日
- vol.71, no.1, pp.1_341-1_367, 2020 (Released:2021-06-16)
- 参考文献数
- 40
- 被引用文献数
-
1
本研究では、新しい有権者 (18歳高校生) が政治的選好を形成するメカニズムを実証的に検討することを目的として、2016年7月10日 (日) に実施された第24回参議院議員選挙に合わせて 「選挙啓発のフィールド実験」 を行った。その結果、簡素なビラ1枚でも、社会的な人間関係への影響を促すことで、高校生の政治的選好形成 (政治関心や投票行動) に効果があることがわかった。そして、そのメカニズムにおいては、親とのコミュニケーションが大きな役割を果たしていた。さらに、このような影響は、高校生がもともと持っているこれまでの家庭環境 (親との政治的コミュニケーション) や本人の性格特性 (特に外向性) によって大きく条件付けられることが明らかになった。これらの知見は、若者を一律に同じ方法で選挙啓発 (より広くは政治教育) することの効果と限界を浮き彫りにしている。