著者
三村 憲弘 深谷 健
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.1_341-1_367, 2020 (Released:2021-06-16)
参考文献数
40
被引用文献数
1

本研究では、新しい有権者 (18歳高校生) が政治的選好を形成するメカニズムを実証的に検討することを目的として、2016年7月10日 (日) に実施された第24回参議院議員選挙に合わせて 「選挙啓発のフィールド実験」 を行った。その結果、簡素なビラ1枚でも、社会的な人間関係への影響を促すことで、高校生の政治的選好形成 (政治関心や投票行動) に効果があることがわかった。そして、そのメカニズムにおいては、親とのコミュニケーションが大きな役割を果たしていた。さらに、このような影響は、高校生がもともと持っているこれまでの家庭環境 (親との政治的コミュニケーション) や本人の性格特性 (特に外向性) によって大きく条件付けられることが明らかになった。これらの知見は、若者を一律に同じ方法で選挙啓発 (より広くは政治教育) することの効果と限界を浮き彫りにしている。
著者
河野 勝 三村 憲弘
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.1_61-1_89, 2015 (Released:2018-06-10)
参考文献数
22

This paper explores the nature of human moral intuition which motivates us to assist others in hardship. Building upon the idea originally developed by Hannah Arendt, we distinguish “compassion” and “pity” as different mental sources, arguing that each entails a distinct pattern through which the institution is translated into or attitudes and behavior. More concretely, we hypothesize that two variables are particularly relevant in determining these patterns: the degree of familiarity with the environment in which the hardship is taking place, and the number of identifiable people who face the hardship. Survey experiments we conducted in August and December 2012 support this hypothesis, showing that the level of willingness to assist others is affected most significantly by the location of the hardship. The findings also suggest that the sentiment of pity motivates our willingness in the context of foreign countries, while the feeling of compassion dominates our intuition and ironically constrains our willingness in the case of the hardship taking place in our own country. The paper discusses the normative implications drawn from these empirical findings and concludes that the two areas of political science, normative theory and positive analysis, must be more integrated in future research.
著者
三村 憲弘
出版者
早稲田大学大学院政治学研究科
雑誌
早稲田政治公法研究 (ISSN:02862492)
巻号頁・発行日
vol.91, pp.25-31, 2009-08-20
著者
三村 憲弘
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
pp.1-100, 2015

早大学位記番号:新7056
著者
田中 愛治 川出 良枝 古城 佳子 西澤 由隆 齋藤 純一 吉川 徹 小西 秀樹 船木 由喜彦 今井 亮佑 品田 裕 飯田 健 井柳 美紀 遠藤 晶久 清水 和巳 Jou Willy 千葉 涼 日野 愛郎 三村 憲弘 村上 剛 山崎 新 横山 智哉 加藤 言人 小川 寛貴 坂井 亮太 中西 俊夫 劉 凌
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2013-05-31

熟慮を経てから市民のニーズを測定するCASI調査と、熟議を通して市民のニーズを探るミニ・パブリックスを比較分析すると、熟議に基づくミニ・パブリックスよりも、熟慮に基づくCASI調査の方がサンプルの代表性は高く、実施のコストが低い点では好ましい。しかし、本プロジェクトの実験・調査を通して、熟慮だけでは難しいが、熟議を通してこそ達成できる効果もあることが分かった。例えば、事実に対する思い込みの是正においては、熟慮ではなく、熟議の効果が確認できた。したがって、CASI調査(熟慮)とミニ・パブリックス(熟議)のどちらにも利点があることが明らかになり、一概に両者の優劣をつけることはできないといえる。