- 著者
-
澤ロ 隆
清水 以知子
- 出版者
- 一般社団法人 日本地質学会
- 雑誌
- 地質学雑誌 (ISSN:00167630)
- 巻号頁・発行日
- vol.108, no.5, pp.XI-XII, 2002 (Released:2010-12-14)
- 参考文献数
- 2
走査型レーザー顕微鏡(laser scanning micro-scope, LSM)は単色光であるレーザーを光源とする光学顕微鏡である. レーザーによる像は, 光電変換によりデジタル画像としてパソコン上に格納されるので, 画像処理による岩石組織の可視化に適している(詳細は清水・島田(2002)を参照). 今回使用したLSMは, オリンパス光学工業(株)のFLU-OVIEWである. ここでは北海道日高変成帯, 幌満カンラン岩体のマイロナイト化したハルツバーガイトの観察例を紹介する. 鏡面研摩した薄片を40%ニフッ化アンモニウム水溶液に浸し, 結晶粒界を10分間エッチングしている.反射モードでは共焦点光学系がもちいられているため, 走査像には反射強度のほか, 試料面の傾きや凹凸についての情報が含まれている(図1a). 表面反射率をマッピングするには, 試料ステージを深さ(z)方向に変化させたたときの最大輝度をステージに平行な面(xy面)に投影する(図1d,図2b). 透過モードの画像(図2a)では, 赤(レーザー波長647nm)・緑(568 nm)・青色(488 nm)の偏光像を重ね合わせ, 干渉色を表している. LSMにおける干渉色は, 単なる写真の代用にとどまらず, 鉱物の光学的性質そのものを数値化した色情報として利用できる。