著者
清水 孝彦 白澤 卓二
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.138, no.2, pp.60-63, 2011 (Released:2011-08-10)
参考文献数
18
被引用文献数
1

加齢と共に変動し,老化や加齢を予測できる因子を老化バイオマーカーと位置付けている.これまでに,性ホルモンのエストロゲンやテストステロンが知られている.Insulin-like growth factor-1やビタミンDなどの成長因子やビタミンも加齢性の変動を示す.カロリー制限アカゲザルの研究からdehydroepiandrosterone sulfate,インスリン,体温の変化が長期縦断研究の加齢性変化データと一致することが判明し,注目されている.さらに最近では,生活習慣病と強くリンクする成分も加齢性変化を示すことが明らかとなった.高齢社会を迎えた現在において,現在の健康状態や老化状態を客観的に評価する老化バイオマーカーの利用価値は高まっている.
著者
高橋 眞由美 清水 孝彦
出版者
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

コエンザイムQ(CoQ)は抗老化作用が期待される栄養補助食品の1つであるが、その作用や効果については科学的に充分に検証されていない。そこでマウスを用いて解析した結果、加齢に伴って脳のミトコンドリア機能が低下したマウスに水溶性CoQ10を飲水投与したところ、CoQは脳関門を通過して脳細胞のミトコンドリアに到達し、ミトコンドリア機能を若齢マウスレベルに回復させることが判明した。またCoQ合成酵素をコードしている遺伝子のひとつであるclk-1がミトコンドリア機能の調節を介して寿命に影響を与えている可能性を明らかにした。