著者
渋谷 俊夫 徳田 綾也子 寺倉 涼子 清水(丸雄) かほり 杉脇 秀美 北宅 善昭 清田 信
出版者
園芸学会
雑誌
Journal of the Japanese Society for Horticultural Science (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.139-143, 2007-04
被引用文献数
4 13

台木用カボチャ (<i>Cucurbita moschata</i> Duch.) 挿し穂を用いて,低気温貯蔵中におけるボトムヒート処理(BH 処理)温度と処理期間が,貯蔵後の発根および成長に及ぼす影響を調べた.BH 処理温度27–32℃において,挿し木後の発根が最も促進された.挿し木後の根部生体重は,BH 処理期間 0 から24時間までは,処理期間が長くなるにしたがって直線的に大きくなった.BH 処理期間26時間では処理中の挿し穂に発根はみられなかったが,BH 処理期間30時間以上で発根がみられた.挿し木による根への損傷による根の生育遅延を避けるために BH 処理は発根直前で終了することが望ましいと考えられることから,最適 BH 処理時間は26–30時間と判断された.接ぎ木苗生産における BH 処理の実用性を検討するために,BH 処理と無処理のカボチャ台木挿し穂にキュウリ (<i>Cucumis sativus</i> L.) 穂木を接ぎ木し,それらを挿し木して育成した.BH 処理条件は気温 9℃,処理温度30℃,処理時間24時間とした.全生体重および根部生体重は挿し木 6 日後において,BH 処理した挿し穂から得られた接ぎ木植物では,処理しなかったもののそれぞれ1.3倍および4.0倍となった.BH 処理による台木挿し穂の発根促進効果は,接ぎ木後さらに 7 日間低温貯蔵しても維持された.<br>
著者
清水(丸雄) かほり 渋谷 俊夫 徳田 綾也子 瓦 朋子 杉脇 秀美
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.23-26, 2008
被引用文献数
2

ナス接ぎ木挿し穂の低温(5-10℃)貯蔵中に挿し穂下端部を温水に浸けるボトムヒート(BH)処理を行うことで,挿し木後の発根促進を試みた.ナス台木(<i>Solanum torvum</i> Sw.)挿し穂の挿し木後における根の成長は,BH処理温度26-31℃で最も促進され,その効果はBH処理期間が長くなるほど大きくなる傾向がみられた.BH処理を5日間継続したところ,処理開始4日目において貯蔵中に発根する挿し穂がみられた.発根した挿し穂は,挿し木する際に根を痛める可能性があることから,最適BH処理期間は3日間程度と考えられた.ナス接ぎ木挿し穂を貯蔵開始直後に処理温度27℃でBH処理を3日間行った結果,挿し木14日後おいて,BH処理した挿し穂の根部生体重はBH処理しなかった挿し穂の1.4倍,貯蔵せず直接挿し木した挿し穂の2.8倍であり,BH処理の効果が認められた.<br>