著者
鈴木 幸久 清澤 源弘 若倉 雅登 石井 賢二
出版者
日本神経眼科学会
雑誌
神経眼科 (ISSN:02897024)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.405-410, 2017-12-25 (Released:2018-01-29)
参考文献数
14

眼瞼痙攣は,眼輪筋の間欠性または持続性の不随意な過度の収縮により開瞼困難をきたす疾患である.局所性ジストニアの一型であり,病因についてはまだ解明されていないが,脳の機能的異常が原因と考えられている.眼瞼痙攣患者の自覚症状の訴えは,「まぶしい」,「眼を開けていられない」など多様で,特に初期では眼輪筋の異常収縮がみられないことも多い.眼瞼痙攣と鑑別を要する疾患として,ドライアイ,眼瞼ミオキミア,片側顔面痙攣,開瞼失行症などが挙げられるが,これらの疾患は眼瞼痙攣に合併することもある.診断は,問診,視診,既往歴などから総合的に判断するが,特に明らかな眼輪筋の異常収縮がみられない症例に対しては,速瞬,軽瞬,強瞬などの誘発試験を用いると有用である.また,薬剤性眼瞼痙攣も存在するためベンゾジアゼピン系薬などの服薬歴の聴取も必要である.ポジトロン断層法と18F-フルオロデオキシグルコースを用いて本態性眼瞼痙攣患者21例,薬剤(ベンゾジアゼピン系)性眼瞼痙攣患者21例,ベンゾジアゼピン系薬を使用している健常人24例の脳糖代謝を測定した.本態性および薬剤性眼瞼痙攣群では,健常群63例と比較して両側視床の糖代謝亢進がみられ,薬剤使用健常人においても視床の糖代謝亢進がみられた.眼瞼痙攣では,基底核-視床-大脳皮質回路の賦活化によって視床の糖代謝亢進がおこっており,それが病因の一つになっていると推測した.
著者
清澤 源弘 小町 祐子 髙橋 真美
出版者
日本神経眼科学会
雑誌
神経眼科 (ISSN:02897024)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.411-420, 2017-12-25 (Released:2018-01-29)
参考文献数
15

眼瞼痙攣治療を成功させる10のヒントやコツをまとめた.1)痙攣の状態の把握には「自己評価表(若倉表)」を用いる.原発性眼瞼痙攣でも薬剤性眼瞼痙攣でも多くが陽性を示す.瞬目テストは患者に「軽瞬」「速瞬」「強瞬」をさせる.治療歴の聴取もおこなう.2)涙液の質と量の評価.ドライアイ症例には点眼治療とプラグ挿入が有効.3)MRI画像診断:眼瞼痙攣は基本的に正常.片側顔面痙攣では血管圧迫がよく見つかる.4)「眩しさ」「痛み」への治療として遮光眼鏡を処方.5)眼輪筋へのボトックス投与.重症度と反応を診て,量を増減.副作用を十分説明する.6)内服薬の併用,Clonazepam(リボトリール®)などの内服薬を投与する場合もある.「抑肝散加陳皮半夏」や「抑肝散」投与も可能.7)症状を軽減する知覚トリックを利用する方法で,クラッチ眼鏡も有効.8)最終手段として眼輪筋切除術がある.9)医療者側からの積極的な働きかけが有効.「眼瞼・顔面けいれん友の会」の紹介や,「目と心の健康相談室」の利用もすすめる.10)患者のニーズを把握するよう努めることが肝要.原点に戻り苦痛を除く工夫を怠らない.
著者
三村 治 河原 正明 清澤 源弘 中馬 秀樹 不二門 尚 山本 紘子 若倉 雅登
出版者
日本眼科学会
雑誌
日本眼科學会雜誌 (ISSN:00290203)
巻号頁・発行日
vol.115, no.7, pp.617-628, 2011-07-10
参考文献数
65
被引用文献数
2