著者
翠 輝久 駒谷 和範 清田 陽司 河原 達也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.499-508, 2005-03-01
被引用文献数
11

テキストで記述された知識ベースを自然言語音声で検索するシステムのための効率的な確認手法を提案する.音声対話システムにおいては, 音声認識誤りや話し言葉特有の冗長性に対処する必要がある.構造化されたデータベースを検索するタスクではユーザ発話中のキーワードに着目した確認を行うことでこれらの問題に対処できるが, 一般的な文書を検索する際にはキーワードの明示的な定義ができないため, このようなアプローチを用いることは難しい.そこで本研究では, 文書情報検索における有用性の観点から, 音声認識結果中の確認を行うべき個所を同定するために, 検索整合度, 検索重要度の二つの統計的指標を導入する.これらの尺度を用いて, 検索に決定的な影響を与える個所は検索を実行する前に確認し, 結果として検索に影響を及ぼす個所は検索結果の違いに基づいて確認を行う戦略を提案する.この対話戦略をソフトウェアサポートを行うシステム「ダイアログナビ」のフロントエンドとして実装した.評価実験の結果, 単純に音声認識結果を用いる場合より検索成功率が向上し, また音声認識の信頼度を用いる確認戦略よりも効率的に確認が行うことができた.