著者
翠 輝久 河原 達也
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.73, pp.69-74, 2006-07-08
参考文献数
5
被引用文献数
7

音声が主要なモダリティである環境において,自然言語で記述された文書を知識源として,インタラクティブにユーザに情報を提供する枠組みを提案する.これは,音声ガイドのように,システム側から一方的に情報を提示するのではなく,ユーザ・システム双方が対話の主導権をとりながら,対話的に情報検索・提示するものである.そのために,ユーザ主導の検索・質問応答(pull)モードと,システム主導の提示(push)モードを用意して,ユーザの状態に応じてこれらを切り替える.検索・質問応答モードでは,漠然とした検索要求のみではなく,特定の情報・事実を求める質問応答機能も実現する.また,提示モードにおいてシステム側から,ユーザにとって有用な話題を知識ベースの中から動的に選択して(質問形式を含めて)提示する.以上の枠組みを京都の観光案内システムとして実装し,京都大学博物館の企画展示において運用を行っている.We propose a speech-based interactive guidance system based on document retrieval and presentation. Unlike conventional audio guidance systems, we prepare two modes of information retrieval (pull mode) and presentations (push mode), and switch them according to the user's state. In the information retrieval mode, the user can ask questions about specific facts in the documents. In the presentation mode, the system actively provides information the user would be interested in. The system was implemented as a sightseeing guidance system and is running since June 2006 at the special exhibition of the Kyoto University Museum.
著者
翠 輝久 河原 達也 正司哲朗 美濃導彦
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.3602-3611, 2007-12-15

音声が主要なモダリティである環境において,自然言語で記述された文書を知識源として,インタラクティブにユーザに情報を提供する枠組みを提案する.これは,現在のオーディオガイダンスのように,システム側から一方的に情報を提示するのではなく,ユーザ・システム双方が対話の主導権をとりながら,インタラクティブに情報検索・提示するものである.そのために,ユーザ主導の検索・質問応答(pull)モードと,システム主導の提示(push)モードを用意して,ユーザの状態に応じてこれらを切り替える.検索・質問応答モードでは,漠然とした検索要求に対して文書を要約して提示したり,特定の情報・事実を求める質問に応答したりする機能を実装した.また,提示モードにおいては,システム側から,ユーザにとって有用な話題を動的に選択して,質問形式を用いて提示する方法を考えた.以上の枠組みを,顔認証機能を有するロボットエージェントに統合し,京都の観光案内システムとして,京都大学博物館の企画展示において運用を行った.3 カ月の運用期間中,のべ2 500人のユーザの利用があった.収集された対話を分析・評価した結果,提案手法がおおむね有効に機能していることを確認した.
著者
翠 輝久 水上 悦雄 志賀 芳則 川本 真一 河井 恒 中村 哲
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.95, no.1, pp.16-26, 2012-01-01
参考文献数
22
被引用文献数
1

ユーザの自然な聞き手反応を喚起する対話システムの構築を目指して,人が対話を行う際に表出する韻律表現を生成する対話スタイルのテキスト音声合成器(TTS)の構築を行う.構築した対話スタイルのTTSを利用してユーザに情報を提示する音声対話システムを実装し,システムに対するユーザの聞き手反応に基づいてTTSの評価を行った.評価の結果,我々が構築したTTSにより,ユーザの感情を判定可能な自然な聞き手反応を引き出すことができることを確認し,自然な対話スタイルの音声を生成することは,ユーザからシステムにとって有益な情報を引き出す効果があることが分かった.
著者
翠 輝久 大竹 清敬 堀 智織 河井 恒 柏岡 秀紀 中村 哲
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.10, pp.1-6, 2011-07-14

ユーザがシステムから情報提示を受けながら候補を選択する意志決定型の音声対話システム構築と被験者実験の結果を報告する.これまで我々は,意志決定対話を部分観測マルコフ過程 (POMDP) としてモデル化し,ユーザの意志決定の良さを最大化するための対話戦略の最適化を行ってきた.本稿では,提案モデルを用いた対話制御手法と複数のベースライン手法とを被験者実験により評価した結果を報告し,ユーザシミュレーション環境で有効性を確認した提案手法が,実ユーザを対象とした場合でも有効であることを示す.This paper presents the results of the user evaluation of spoken decision support dialogue systems, which help users select from a set of alternatives. Thus far, we have modeled this decision support dialogue as a partially observable Markov decision process (POMDP), and optimized its dialogue strategy to maximize the value of the user's decision. In this paper, we present a comparative evaluation of the optimized dialogue strategy with several baseline strategies, and demonstrate that the optimized dialogue strategy that was effective in user simulation experiments works well in an evaluation by real users.
著者
翠 輝久 駒谷 和範 清田 陽司 河原 達也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.499-508, 2005-03-01
被引用文献数
11

テキストで記述された知識ベースを自然言語音声で検索するシステムのための効率的な確認手法を提案する.音声対話システムにおいては, 音声認識誤りや話し言葉特有の冗長性に対処する必要がある.構造化されたデータベースを検索するタスクではユーザ発話中のキーワードに着目した確認を行うことでこれらの問題に対処できるが, 一般的な文書を検索する際にはキーワードの明示的な定義ができないため, このようなアプローチを用いることは難しい.そこで本研究では, 文書情報検索における有用性の観点から, 音声認識結果中の確認を行うべき個所を同定するために, 検索整合度, 検索重要度の二つの統計的指標を導入する.これらの尺度を用いて, 検索に決定的な影響を与える個所は検索を実行する前に確認し, 結果として検索に影響を及ぼす個所は検索結果の違いに基づいて確認を行う戦略を提案する.この対話戦略をソフトウェアサポートを行うシステム「ダイアログナビ」のフロントエンドとして実装した.評価実験の結果, 単純に音声認識結果を用いる場合より検索成功率が向上し, また音声認識の信頼度を用いる確認戦略よりも効率的に確認が行うことができた.