著者
清雲 栄純
出版者
法政大学スポーツ健康学部
雑誌
法政大学スポーツ健康学研究 (ISSN:21853703)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-31, 2018-03

我が国では急速な少子高齢化の到来や複雑化するビジネスの現場におけるストレスの増大・生活習慣病の増加などの社会環境の変化による諸問題が顕著化している。これらの問題解決のための手段として、地域におけるスポーツやレクレーションの果たす役割が重要視され、全国の市区町村に少なくとも一カ所の設立を目標に総合型地域スポーツクラブの育成に取り組んできた。しかし、約20 年が経過した現状ではクラブ数は増加傾向にあるものの設立や運営内容に課題が多く、クラブ育成に対しての問題を指摘した事例が多くみられる。また、J リーグにおいても地域スポーツの振興をスローガンに掲げた、J リーグ百年構想の実現に向けて取り組んでいるクラブは当初ほど多く見られなくなった。このような状況下で「子供たちの居場所づくりや地域コミュニティの創造」を目的にJ リーグクラブとホームタウンの住民が中心になり設立して15年目を迎えた地域スポーツクラブと、J リーグクラブの中でも先進して「J リーグ百年構想」の実現を目指してクラブ運営を進めて来た2 クラブに焦点を当て検証する。また、筆者が体験した海外の事例も参考に今後の日本における総合型地域スポーツクラブの育成について考察する。