著者
渡 正伸 片山 達也
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.626-630, 2006-05-15 (Released:2017-03-29)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

肺癌術後に健側肺のみに出現した急性肺障害のため術後ARDSに陥った症例を経験した.肺癌術後にALIやARDS等の急性肺障害を発症する場合,その多くは術前から肺に線維性変化が認められることが多く,術後急性増悪として理解されている.術後急性増悪によるARDS症例では通常,肺障害は両側性に現れるが,自験例では手術操作を加えていない健側肺にだけ認められた.なぜ手術操作を加えていない健側肺にのみ急性肺障害が生じたのか原因不明である.術中片肺換気におけるdepending lungであるためventilator-induced lung injuryの関与が疑われるが推論の域を出ない.過去に健側肺のみに生じた肺癌術後急性肺障害に焦点をおいた報告はなく,急性肺障害発症のメカニズムを探求する上でも貴重な症例と考え報告する.
著者
渡 正伸 熊谷 元
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.91, 2006

<B><緒言></B>近年、日本はたばこ規制枠組条約を批准し、たばこ規制に対して国際レベルの行動が求められるようになった。喫煙の有害性が認められるようになり、禁煙運動も社会的に大きな流れとなっている。しかしながら我が国においてはタバコ産業の大株主は財務省であり、厚生労働省もたばこが有害と知りながらも縦割り行政の弊害のためか抜本的なたばこ対策が実施しにくい状況と言える。近年、男性の喫煙率が低下する一方で、若い女性における喫煙率が増加している。若い女性、つまり子どもを持つ母親の世代での喫煙率が増加していることは、喫煙行動が子どもにとって身近な事柄となっていることが推察され憂慮すべき状況といえる。このような状況下に置かれた子ども達にたばこの有害性を教えていくことは最重要課題の一つと考えられる。国、政府がたばこの有害性を知りながらも現状維持のたばこ政策を行うかぎり、国民、子どもは被害者でありつづけることになる。人々の健康を守ることは医師の使命の一つであることを考えると、たばこの有害性をまずは医師が率先して訴えなくてはならない。日々の診療をするにとどまらず、もっと積極的に疾病予防の見地に立って第一次予防に目をむけるべきである。<BR><B><方法></B>呼吸器疾患をはじめ循環器疾患など多くの疾病に喫煙の有害性が大きく関与している。喫煙患者の禁煙指導が必要な反面、健康者に対する禁煙教育、さらには防煙教育が重要と考えた。即ち、未だたばこを吸ったことのない小学生時代に喫煙の有害性を知っておくことが重要であり喫煙防止効果も期待できると考えた。最初は校医をしている知り合いの医師をとおして小学校に喫煙防止授業の提案を行った。快諾を得た後、小学6年生に喫煙の有害性について授業を実施した。その後は市の教育課長に依頼し市全域の小学校に働きかけをしてもらい、喫煙防止授業を実施するよう小学校に呼びかけた。授業は院内の診療業務の合間に予定して実施し、診療に重大な支障が生じないよう配慮した。<BR><B><結果、考察></B>2002年度から小学校を中心に喫煙防止教室を行ってきた。2002?2005年度で5、6、9、11校と授業を実施してきた。徐々に開催校は増加している。今後さらに喫煙防止授業を希望する学校が増加した場合、個人ではマンパワー不足となる可能性がある。対策としては協力者を募るか、地区医師会や校医の協力が必要となる可能性もある。若い女性、即ち小学生の子どもを持つような女性の喫煙率が増加している現在、喫煙に対する正しい評価と判断を下すためには、正しい知識を小学生のうちに身に付けてもらうことが重要である。そのためには我々医師が喫煙の有害性を具体的に教えていく必要があると考えられる。喫煙防止授業の活動がどれ程の成果をあげるかは未知であるが医師の大きな役割と考えている