著者
竹島 伸生 小林 章雄 田中 喜代次 新畑 茂充 渡辺 丈真 鷲見 勝博 鈴木 雅裕 小村 堯 宮原 満男 上田 一博 加藤 孝之
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.197-207, 1989-10-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
33
被引用文献数
3 1

本研究は, 中高年ランナーに対して自転車エルゴメーター作業を負荷することにより, LTおよびall-out時でのVo2, HR, SBP, DBPを測定し, これらの加齢変化やトレーニング内容などとの関係について検討した.その結果は, 次のように要約できる.1.身長, 体重, %fat, 体格指数は, 年代間で有意な差は認められず, すべての年代のランナーは類似の痩身体型であった.週当りの走行距離時間, 頻度などは個人差が大きいが, 平均値でみると年代間に有意な差は認められなかった.ランナーとしての経験年数も年代間に有意な差は認めちれなかった.しかし, 加齢に伴い走パフォーマンスは著明に低下した.2.年齢とVo2@LTとの間には有意な相関 (r=-0.686) がみられた.しかし, %Vo2max@LTは, 各年代でほぼ同値であり, 年齢との間に一定の関係は認められなかった.3.年齢とHR@LTとの間には有意な相関がみられたが, %HRmax@LTは%Vo2max@LTと同様に年齢とは無関係であった.4.SBP@LT, DBP@LTについては年代間に有意な差は認められず, 年齢との関係は明らかでなかった.5.加齢による変化は, Vo2@LT (0.5ml/kg/min/yr) よりもVo2max (0.7ml/kg/min/yr) の方が大きかった.6.Vo2maxの加齢による変化は, 既報の一般人やランナーと比べて大きかった.しかし, 各年代でのVo2maxは, 一般人に比べ平均で50~60%高く, 例えば70歳代ランナーのVo2maxは一般人の40歳代に相当した.7.Vo2maxとトレーニングの経験年数との間には有意な関係はみられなかったが, ランナーとしてのトレーニング開始年齢とVo2maxとの間には, 有意な相関が認められた.8.HRmaxは, Vo2maxと同様に加齢による低下を示し, 同性同年代の一般人と比べて有意差はみられなかった.9.推定HRmaxと実測したHRmaxとの間には, 有意な相関 (r=0.600) がみられたものの, 個人差が大きく±10拍/分以上の誤差を生じた者が約32%いた.10.SBPmax, DBPmaxは, 年代間で有意な差はみられず, 中高年ランナーにおいては年齢と血圧の関係は明らかでなかった.