著者
渡辺 乾二 佐藤 泰
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.8, pp.393-400, 1971-08-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
19

ラードを空気の通気のもとに170-175°Cで,0-0.5,0.5-1.0,1.0-2.0,2.0-4.0,4.0-8.0と8.0-14.0時間断続的に加熱した.各加熱区間で得た揮発性生成物を中性化合物,酸性化合物およびラクトンとに分画した.これらの化合物の同定にはGCおよびある場合にはGCMSを用いた.加熱したラードの酸化変質の測定は化学および物理的方法によった.各加熱区間で得た主要な成分は,中性化合物としてペンタナール,ヘキサナール,ヘプタナール,ペンタノール,オクタナール,2-ヘプテナール,ノナナール,2-デセナールと2-ウンデセナールであり,酸性化合物としてはC6, C8とC9の脂肪酸であった.それらの生成割合は加熱区間ごとに異なっていた.検出したラクトンはγ-ラクトン(C6, C7, C8とC9)とδ-ラクトン(C10とC12)であり,γ-ラクトンが酸化変質の進んだ加熱区間の後半において特に顕著に生成されることが認められた.