著者
作山 誠樹 渡辺 勲 佐藤 武彦 花房 孝嘉
出版者
The Japan Institute of Electronics Packaging
雑誌
サーキットテクノロジ (ISSN:09148299)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.128-135, 1993-03-20 (Released:2010-03-18)
参考文献数
7

表面実装における微細パターン化に伴い, プリント配線板の前処理であるソルダコート (予備はんだ被膜) の薄膜化が要求されている。しかし, 薄いソルダコート表面では, はんだペーストとの濡れ性低下が問題となる。そこで, メニスコグラフ濡れ性試験, オージェ分光分析, X線マイクロアナライザにより, 薄いソルダコート表面でのはんだ濡れ性低下のメカニズムの解明と, 薄いソルダコート用はんだ材料について検討した。その結果以下のことが明らかとなった。母材からのCuの拡散によってCu-はんだ界面に生成するCu-Sn金属間化合物ははんだ表面まで成長し, 表面に露出した化合物中の過剰なCuが酸化することによって, 薄いソルダコート表面でのはんだ濡れ性が低下する。ソルダコート用共晶はんだ浴に0.3wt%のCu添加は, 母材からのCuの溶出を抑え, 化合物の成長を抑制する。また, 0.1wt%以上のインジウム (In) 添加はソルダコート表面がInリッチとなって, 表面にInの酸化膜を形成させ, これが化合物の酸化を抑制する効果がある。したがって, ソルダコート用はんだにCu-Inを添加することで, Cu-Sn金属間化合物の成長を抑制し, たとえ薄いソルダコート表面で金属間化合物が露出したとしても, 化合物表面の酸化を抑制し, 良好なはんだ濡れ性を得ることができる。