著者
高畑 薫 植田 晶子 渡辺 四男也 秋山 陽 寺田 厚
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.437-443, 2001-06-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
7
被引用文献数
2 2

油脂含量の高い水産缶詰食品中のBPA分析法について検討し,次の結果を得た.(1) 試料を酢酸エチルで抽出し,n-ヘキサン/アセトニトリル分配により脱脂した後,ポリスチレンビーズを充填した固相カートリッジ(GL-Pak PLS-2)でクリーンアップすることで処理操作が簡便となった.(2) BPAをTMS化した後,GC/MS (SIM)で測定することで,注入時の吸着や共存物質の影響を受けず高感度分析が可能であった.(3) さば水煮を用いて添加回収試験を行ったところ,93.4±2.5% (n=3)の良好な回収率を得た.本法の定量限界は10ng/gである.(4) 本法を用いて市販の水産缶詰食品14検体について調査したところ,8検体から21.1ng/g-134.8ng/gのBPAが検出された.
著者
高野 伊知郎 瀬戸 隆子 安田 一郎 浜野 朋子 高橋 奈穂子 渡辺 四男也
出版者
日本生薬学会
雑誌
生薬学雑誌 (ISSN:00374377)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.70-73, 1993-03-20
被引用文献数
1

牛黄清心九は,鎮痛鎮静,抗けいれんの目的で用いられる中国製漢方製剤(中成薬)である.本剤は宋の「大平恵民和剤局方」を出典とし,29種の生薬末からなり,鉱物性生薬である「朱砂」及び「雄黄」を配合しているといわれる.「朱砂」及び「雄黄」は,いずれも水銀(Hg)及び砒素(As)の硫化物であるが,Hg及びAsの毒性は化学形によって大きく異なることが知られている.我が国では「朱砂」配合製剤は,水銀製剤とされ,現在製造されていない.また,Asについても薬剤としての使用は大半が中止されている.しかし,中国では「朱砂」及び「雄黄」配合製剤は各地で製造され,その使用量も少なくない.また,製剤によってはこれらの配合記載が無いものもあり,その配合量も一定ではない.そこで,中国各地で市販される本剤中のHg及びAsの含有量を明らかにし,その化学形について解析を行った.