著者
湯川 智行 塩谷 哲夫 石田 良作 渡辺 好昭
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.71-74, 1988

ライ麦の2品種を用い, 1985年10月1日から2日おきに11回播種し, 播種期と根雪前生育量及び雪害との関係を検討した。地上部乾物重は, 播種期が遅くなるにつれて急激に減少した。雪害は, 播種期が遅くなるにつれて急激に増加した。これは, 乾物重の急激な減少と乾物重の一定値以下への減少とがあいまっておこると考えられる。地上部乾物率は, 明瞭な品種間差が認められ, サムサシラズが春一番より全播種期を通して高かった。また, 雪害に関与する要因について重回帰分析を行ったところ, 品種間では乾物率が重要となり, 品種内では, 乾物率はほぼ固定的となるために, 生育の量である乾物重や茎数が重要な要因となることが示された。
著者
石田 良作 青田 精一 田村 良文 渡辺 好昭
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報
巻号頁・発行日
vol.20, pp.9-10, 1985

新潟県下約20ケ所について, 59年豪雪による大小麦の被害を調査した。本年は10月播種時の天候不良, 早い根雪, 遅い融雪が重なって雪害が助長され, とくに播き遅れ圃場, 排水不良圃場で被害が著しかった。しかし, 適期播種, 排水対策を行なった圃場では130日を越える根雪でも, 300kg以上の収量が見込まれた(ミノリムギ)など, 改めて基本技術の重要性を再認識する結果となった。
著者
石田 良作 青田 精一 渡辺 好昭
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.29-31, 1986

1) 積雪地帯に適すると考えられる小麦13品種・系統を用いて, 耐雪性, 収量性, 早晩性等の諸特性を比較した。2) 供試した小麦品種・系統は, いずれも適期播種を行った場合, 80日の根雪では雪害も小さく, 枯死株を生じなかった。しかし, 根雪が100日を越えると, 東山系統は若干の枯死株を生じ, 132日では13〜45%の株が枯死した。しかし, 現在奨励品種に採用されているものや東北系統は132日の根雪でも5〜10%の枯死株率にとどまった。3) 供試系統小麦の成熟期は6月14日〜7月6日で, 積雪及び消雪日により著しく変動した。この中でナンブコムギと東山系統との熟期の差は, 成熟期が早い場合は2日程度あったが, 遅い場合は0〜1日の差となった。4) 子実収量は根雪が80日の場合, 東山13, 16, 17, 18号が最も高かった。しかし, 根雪が100日を越えると収量低下が目立ち, 132日では80日の46〜60%の収量となった。これに対して, ナンブコムギやユキチャボは132日でも80日の81〜90%の収量水準を維持した。5) 上麦千粒重は, ナンブコムギ, ユキチャボや東北系統のものは比較的高かったが, 東山系統は10号を除いてはやや小さかった。6) 昭和59年収穫小麦のうち1品種4系統について, 製粉研究所に小麦粉の品質, 麺の評価の分析を依頼した。比較対照品種としたナンブコムギと供試4系統はよく似た粉の性質であったが, 東山16号のアミロ値が低かった。麺の評点はいずれの系統もナンブコムギよりやや劣った。7) これらの結果, 少雪地では東山17号, 多雪地ではナンブコムギ, ユキチャボ, 東北167号が適するものと考えられた。
著者
渡辺 好昭 湯川 智行 塩谷 哲夫
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.67-69, 1988
被引用文献数
1

オオムギの播種期を変えて根雪前の生育と雪害の関係を検討した。10月15日以前に播種した場合, 根雪前地上部乾物重は0.5g以上となり, 越冬茎数は90%以上であった。10月30日以降に播種した場合, 根雪前地上部乾物重は0.1g以下となって越冬茎数は0%となった。そして, 10月15日から30日までに播種した場合, 播種日が遅くなる程雪害は増大して, 地上部乾物重が0.08gから0.57gまでの間では地上部乾物重と越冬茎率との間に高い相関関係が見られた。このことから, 根雪前地上部乾物重が耐雪性を規定する1つの要因と考えられた。秋季の施肥窒素量を増加すると, 乾物率が減少して, 播種期が早かった区でも耐雪性が減少した。したがって, 乾物率もまた耐雪性を規定する1つの要因と考えられた。
著者
青田 精一 渡辺 好昭 石田 良作
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.52-58, 1985-04-30

低湿重粘土転換畑における飼料作物の地下部生育の年次変化及び種間差と土層酸化の関係について4カ年検討した。試験は長大作物(トウモロコシ,ソルガム),暖地型牧草(ローズグラス,グリーンパニック)と,参考に大豆の5種を供試して,当地の標準耕種法で栽培した。播種は5月中旬,刈取時期はトウモロコシ黄熟期,ソルガム出穂期に2回,暖地型牧草は3回,大豆は成熟期で,根系及び土壌調査は10月上旬一斉に行った。地上部収量は長大作物が勝ったが,根重は長大作物より暖地型牧草が多かった。各作物を通じ,転換1年目は根の上層分布割合は高く,最長根も非常に浅いなど,根の伸長阻害がみられた。転換後の経過年次とともに根は深部に伸長し,根圏の拡大がみられるが,その過程は急には進まなかった。作土下の伸長根の分布をみると,ソルガムは転換2年目,暖地型牧草は3年目で,前作物の水稲根跡の空隙を通過して深部に満遍なく伸長する根がみられるが,トウモロコシと大豆では伸長根の大部分が亀裂中に分布するなど種間差が明らかであった。最長根は4ヵ年を通じ,ソルガム>暖地型牧草>トウモロコシ>大豆の順に深く伸長した。また土層の酸化は最長根長に全く一致する形で進み,土層酸化に及ぼす伸長根の影響が推察された。しかし,亀裂の深さは大豆で最も進み,土層の乾燥過程は種間差が明瞭であった。作物の蒸散による土中からの吸水をpFの推移からみると,下層ではソルガムが供試作物中最も多かった。一方裸地区のpFは作付区に比して著しく低く,植生による土層からの吸水が確認された。