著者
渡辺 真希子 後藤 裕明 中山 伸一
出版者
Japan Society for Information and Media Studies
雑誌
情報メディア研究 (ISSN:13485857)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.1-18, 2021-05-21 (Released:2021-05-21)
参考文献数
33

疾患を持つ子どもの親とその家族は, 医療者との治療に関する意思決定において情報を必要とすることが分かっているものの, 小児がんの子どもを持つ親の情報探索行動については殆ど明らかとなっていない. 本研究は, 親の治療決定の同意との関連から親の情報探索行動を明らかにすることを目的とする. さまざまな医療情報源の使用頻度と他の決定要因との調査を行い, どの種類の情報源が子どもの治療決定に関する親の同意に影響を与えるかについて重回帰分析を用いて評価した. 僅かではあるが主治医(β= 1.72, p = .028)と, 主治医が所属する機関に関わらず広く医療機関のウェブサイト(β= 0.87, p = .016)が治療決定の同意に正の影響を与えること, 医師が発信するウェブサイト(β= -0.8, p = .042)が治療決定の同意に負の影響を与えること, 親の批判的ヘルスリテラシーよりも伝達的ヘルスリテラシー(β= 0.63, p = .003)が情報探索行動の決定的要因としての治療決定の同意に関連することが分かった. これらの結果は, 医師が発信するウェブサイトを利用する親は, 複数の医師からの情報についても探索し, 情報源として主治医及び医療機関のウェブサイトを利用する親より治療選択の同意に慎重である可能性を示唆した. 親の情報探索における伝達的ヘルスリテラシーが治療選択の同意において関連が深いことは, 親が診断の初期段階に幅広い情報源を使用したことを示唆している. そのため医療スタッフ及び情報提供の専門家は, 小児がんの子どもを持つ親の情報探索行動が個人属性に影響されることを考慮し, 診断の初期段階で親の識字能力や学歴に応じた情報を提供する必要があることを考察した.
著者
渡辺 真希子 松村 有子 登坂 善四郎
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.196-199, 2018

<p>近年,医学学術雑誌や各種診療情報のデジタル化が進み,その利用環境は大きく変化している。本稿では,2013年から直近までの神奈川県立病院機構における医療情報の整備状況を報告し,病院における医学情報整備の課題を検討する。段階的にオンラインジャーナル等の契約改善に取り組んだ結果,オンラインジャーナルの契約誌数が約3倍に増加した。しかしながら,医師らへのアンケートでは,その満足度は十分とはいえない。その理由として一部を除いて,医学情報を管理する図書室は体系的に整備されていない。今後も価格高騰,病院向けの医学・学術情報の維持・管理,及びコンソーシアムを含めた包括的な議論が必要である。</p>
著者
渡辺 真希子 松村 有子 登坂 善四郎
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.196-199, 2018-04-01 (Released:2018-04-01)

近年,医学学術雑誌や各種診療情報のデジタル化が進み,その利用環境は大きく変化している。本稿では,2013年から直近までの神奈川県立病院機構における医療情報の整備状況を報告し,病院における医学情報整備の課題を検討する。段階的にオンラインジャーナル等の契約改善に取り組んだ結果,オンラインジャーナルの契約誌数が約3倍に増加した。しかしながら,医師らへのアンケートでは,その満足度は十分とはいえない。その理由として一部を除いて,医学情報を管理する図書室は体系的に整備されていない。今後も価格高騰,病院向けの医学・学術情報の維持・管理,及びコンソーシアムを含めた包括的な議論が必要である。
著者
直江 千寿子 渡辺 真希子
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.93, pp.52-58, 2011-12

国際図書館コンソーシアム連合(ICOLC:International Coalition of LibraryConsortia )の会合は,年2 回,春に北米,秋に欧州で開催されている。米国テキサス州オースティンで開催された第23回会合は,電子リソース価格調査,電子ジャーナルの価格モデル,PDA,電子ブック,ディスカバリー・サービス等をテーマとした全体討議やテーマ別分科会の他,ベンダーグリルの全19 セッションから構成されていた。本稿ではその概要について報告する。The International Coalition of LibraryConsortia meets twice a year, in North America in the spring and in Europe in the fall. The 23rd meeting was held in Austin Texas and included a total of nineteen sessions on topics such as value and assessment measures for e-resources, pricing models for e-journals, PDA, e-books and discoveryservices and breakout sessions on different topics. This paper provides an overview of these sessions.