著者
渡邉 融 Tohru Watanabe
雑誌
放送大学研究年報 = Journal of the University of the Air (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.162(77)-143(96), 2000-03-31

目的 蹴鞠道飛鳥井家の元禄・宝永年間の当主雅豊の日記によって当時の蹴鞠道家の年間蹴鞠暦を復元し、近世蹴鞠道家の活動の実態を明らかにしょうとした。そして、重要事項が何であり、それらが如何に遂行されたかを把握しようとした。 結果(一)蹴鞠道で最も重要な年中行事は正月四日の鞠始めと七月七日の七夕鞠であった。これらは蹴鞠道の当主と公家・地下の門弟が参加して行われた。鞠始めは蹴鞠道の年頭の儀式である。七夕鞠は気巧奠の日であり、技の上達を祈願する意味をもっていた。(二)蹴鞠道家で最も頻繁に行われた行事は、京都在住の公家・地下門弟たちの蹴鞠例会であった。これらは、公家・地下の身分別に、地下門弟はさらに上・中・下の三組に分れて、月に一乃至二回の割合で、かなり組織的に行われていた。(三)門弟に免許を授けることは蹴鞠道家にとって重要な仕事であった。蹴鞠免許には冠懸緒の免許と蹴鞠色目の免許との二種類があった。前者に関する記事は年に数件ずつ認められたが、後者に関しては公家門弟向けのものが若干見られただけで、地下門弟のものは殆ど記録されておらず、史料的には不十分であった。
著者
渡邉 融
出版者
放送大学
雑誌
放送大学研究年報 (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.236(1)-211(26), 1996