著者
渡邉 貴昭
出版者
特定非営利活動法人喜界島サンゴ礁科学研究所
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

西アジア地域は、人類史の中でも早くから文明が発展し、交易の中心として文化・経済の重要な地域であり続けていた。しかし、近年の中東地域の社会情勢は不安定である。近年の中東地域の不安定な社会情勢には、干ばつと砂嵐の多発といった気候変動の寄与が指摘されている。過去に発生した気候変動の影響を検証するためには連続した観測記録が必要となる。そこで、過去の干ばつと砂嵐の頻度と強さをペルシャ湾産の造礁サンゴを用いた代替指標で復元することにより、観測記録の不足を補い、近年の西アジアの気候変動を解明する。復元記録をもとに気候変動が中東社会に与えてきた影響を解明する
著者
米田 しおり 山崎 敦子 渡邉 貴昭 Frederic Sinniger 波利井 佐紀 渡邊 剛
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2017

<p>造礁性サンゴが生息する熱帯・亜熱帯の海で、水深30 m~150 mは浅場の海と区別してメソフォティックゾーン(中有光層:Mesophotic zone)と呼ばれ、環境変動に抗して浅場サンゴ礁とその生態系を保存するrefugiaとして近年関心を集めている。しかし、そこに生息するサンゴの環境適応に関しては未だ解明されていないことが多い。そのため、サンゴ骨格の年輪の解析からサンゴの成長、代謝、そして生育環境を分析することで、メソフォティックゾーンにおけるサンゴの成長と環境適応の履歴を探ることが本研究の目的である。各水深(4m、15m、40m)においてサンゴ骨格中に記録されたSr/Ca比から予想される水温を復元した。また、サンゴ骨格中に記録された酸素同位体比偏差の季節変動を求めた結果、骨格伸長量が小さい2月と8月に酸素同位体比偏差のピークが見られた。このことから、酸素同位体比偏差は伸長量の季節変動を示す指標となり得ることが示唆された。</p>