著者
渡邉 雄介 中原 千尋 河田 純 大薗 慶吾 鈴木 宏往 宮竹 英志 井上 政昭 石光 寿幸 吉田 順一 篠原 正博
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.759-768, 2013-10-01 (Released:2013-10-11)
参考文献数
28
被引用文献数
1 1

症例は86歳の男性で,上腸間膜動脈(superior mesenteric artery;以下,SMAと略記)血栓症に対する血栓溶解療法・抗凝固療法を誘引として発症したコレステロール塞栓症(cholesterol crystal embolization;以下,CCEと略記)による腸閉塞に対し,単孔式腹腔鏡下手術(single incision laparoscopic surgery;以下,SILSと略記)を施行した.CCEによる腸閉塞はまれであり,これに対し単孔式を含めた腹腔鏡下手術を施行した報告はない.本症例に対しSILSを安全に施行するうえで,術前の閉塞部位の同定とイレウス管による腸管の減圧などが有効であった.今後,インターベンション治療や抗凝固療法の増加に伴いCCEの罹患数は増加するものと考えられ,一般消化器外科医もこの疾患の存在を認識することが重要である.また,本症例のようにCCEはSMA血栓症などの致死的な疾患を背景として発症する可能性のある疾患であり,外科的治療を考える際には低侵襲な単孔式を含めた腹腔鏡下手術も治療選択肢としてあげられると考えられた.
著者
北島 尚治 北島 明美 渡邉 雄介 鈴木 衞
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.95-102, 2010 (Released:2010-10-15)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1

メニエール病に対し副作用の少ない治療法としてハーブティー療法 (HTT) を考案した.メニエール病患者 15 名に対し,日本めまい平衡医学学会の治療効果基準に基づき,HTT 開始 6 か月前から,めまい回数記録,純音聴力検査,能力低下および耳鳴の自覚的評価に関するアンケートを毎月行い,HTT 開始以降の 12 か月間と比較した.めまい回数は効果判定基準に基づきめまい係数を算出した.HTT 施行例のうち 10 症例が再発せず良好な経過をみせた.めまい係数では 75%が軽度改善以上を示した.聴力は全例で悪化を認めなかった.能力低下アンケートでは改善傾向を認め,耳鳴アンケートでも悪化を認めなかった.再発 5 例もより少ない投与回数で症状のコントロールが可能であった.HTT は効果が緩やかであるため急性発作期の治療には向かないが,緩解期の再発予防には十分な効果を発揮し,急性期でも他の通常医療薬との併用で効果を高めることが期待された.