著者
宮下 弘 藤巻 有希 正田 八州穂 早乙女 壮彦 小峰 由美子 渡邊 美砂
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.109-116, 2021

<p>母の摂取していた葉酸サプリメントが原因で,新生児期から血便を生じた消化管アレルギー症例を経験した.</p><p>症例は日齢38の女児.日齢5より持続する血便を主訴に受診した.10回/日の下痢と,末梢血好酸球増多(16%),便中ヒトヘモグロビン陽性も認められ,乳児消化管アレルギーを疑った.母乳中心の混合栄養であったため,人工乳を中止し,母に乳製品の除去食を指導したが血便は改善しなかった.しかし母が妊娠前から摂取していた市販の葉酸サプリメントを偶発的に中止したところ,速やかに血便が消失した.そのためサプリメントの経母乳負荷試験を行ったところ,児の便中ヒトヘモグロビンは再上昇し,再現性を確認した.サプリメント成分のプリックテスト,リンパ球刺激試験の結果と合わせて,葉酸サプリメントによる消化管アレルギーと診断し,含有される酵母が原因と推測した.</p><p>本症例より,母体が摂取しているサプリメントが児の消化管アレルギーの原因になり得ることを念頭に置き,サプリメントで葉酸を摂取する場合は,添加物の少ないものが望ましい.</p>
著者
森川 みき 市川 邦男 岩崎 栄作 伊藤 わか 在津 正文 渡邊 美砂 増田 敬 宮林 容子 山口 公一 遠山 歓 向山 徳子 馬場 實
出版者
THE JAPANESE SOCIETY OF PEDIATRIC ALLERGY AND CLINICAL IMMUNOLOGY
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.46-53, 1995-03-25 (Released:2010-04-30)
参考文献数
14

アミノフィリン持続点滴療法を施行した2歳未満 (2カ月~23カ月) の乳幼児気管支喘息96例 (気管支喘息疑い, 細気管支炎を含む) を対象に, テオフィリンクリアランスに影響を与える諸因子について検討した. テオフィリンクリアランスは加齢とともに上昇し, 6カ月以下の児では7カ月以上の児に比較して有意に低値であった. テオフィリンクリアランスの単変量解析の結果, 下痢を合併する群に有意に低値であった. 発熱群, 嘔吐群ではクリアランスの低下が認められたが統計学的には有意でなかった. アイテムに性別, 月齢, 体重, 発熱, 下痢, 嘔吐の6項目を選択した多変量解析の結果, テオフィリンクリアランスに影響を与える重要な因子は, 月齢, 下痢, 発熱の有無であると考えられ, 低月齢, 下痢, 発熱を有する症例ではテオフィリンクリアランスが低値を示す傾向が認められた.2歳未満の児にアミノフィリン持続点滴療法を施行する際は, 血中濃度のモニタリングを十分に行い, 患児の月齢, さらに下痢, 発熱の有無について考慮する必要があると考えられた.