著者
渡部 一郎 渡部 朋子
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.353-362, 2015-10-27 (Released:2015-11-12)
参考文献数
10

有酸素運動は、生活習慣病予防や糖尿病治療で有用である。近年、末梢毛細血管観察装置(M320、JMC社、京都)による鮮明な毛細血管血流のリアルタイム動画の観察や血流速度測定が可能となった。健常男子7名に自転車エルゴメーターによる有酸素運動を施行し、皮膚温、手指爪上皮部毛細血管平均血流速度(以下平均血流速度)の測定、毛細血管血流と有酸素運動の関係を検討した。有酸素運動は呼気代謝装置(VMAX29c、Sensormedics社、米国)を用いV-slope法で求めた嫌気性呼吸代謝閾値の90%の運動強度の有酸素運動を20分間施行した。平均血流速度には、運動前後で対応のあるt-検定を用いた。皮膚温はサーモグラフィ(FLIR SC620、FLIR Systems Inc.,米国)による高解像度の全身動画を用いた。心拍数と皮膚温の統計学的検討には、one-way repeated-measure ANOVA、下位検定としてBonferroniの多重比較検定を用いた。有意水準はP<0.05とした。心拍数は、運動前と比較し、運動後4分、7分、10分、11分、13分から20分に有意の増加を認めた。左手第4指温は、運動開始時と比較し、運動終了後6分から10分に有意の上昇を認めた。母趾温は、運動開始時と比較し、運動8分に有意の低下を認めたがその後徐々に改善した。毛細血管血流速度は、運動前124.6±3.4μm/s(平均値±標準誤差;以下同様)、運動後133.1±2.2μm/sと有意の増加を示した。対面で可能な、非侵襲性のサーモグラフィや手指毛細血管血流のリアルタイム動画観察は、患者自身が、運動療法の有効性を理解し、そのモチベーションを高める可能性がある。
著者
渡部 朋子 渡部 一郎
出版者
バイオフィリア リハビリテーション学会
雑誌
バイオフィリア リハビリテーション研究 (ISSN:13475568)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.1-4, 2007-08-25 (Released:2008-01-17)
参考文献数
10
被引用文献数
1

メタボリックシンドロームは,若年期から継続されてきた食•運動習慣によるところが大きい.大学生を対象に,アンケートによる身体,運動,食行動等の調査を行い,若年者の腹囲と食習慣の関係を腹囲要注意群と正常群に分け検討する.腹囲は身長,体重,ヒップ,BMI,最高血圧,肩甲骨下部皮下脂肪厚と有意に相関した.腹囲要注意群と正常群との比較検討において,最高血圧では腹囲要注意群が正常群より有意に高く,すでにメタボリックシンドロームの危険性を示していた.内臓脂肪の減少には,バランスの取れた食事と運動が大切であり,夜間間食をしないことが,有用であることが示された.