著者
温井 亨
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.79-84, 1992
被引用文献数
5 7 3

5年にイタリアで制定されたガラッツ法は, 国土の風景の荒廃を防ぐため, 海岸線から300m以内の国土の全域等を風景規制下に置くと同時に, 州に風景計画の策定を義務づけ, 策定までのあいだの暫定措置として, さらに規制地域内等に建築禁止区域を設けた。本研究では, こうした極めて大胆な内容を持っガラッツ法の背景を, 州制度導入による地方分権, 保全対象の拡大過程, 風景の公共性と私権制限の関係という3つの側面から歴史的に考察し, 同法の法的性格を明らかにした。
著者
温井 亨
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.749-752, 1998-03-30
参考文献数
3

尾花沢市では1986年に「銀山温泉家並保存条例」を設け, 温泉内の建築活動を誘導し, 美しい町並の形成に努めてきた。本研究ではこの試みに対して,(1) 温泉街の景観的特徴,(2) 条例の内容,(3) 12年間の成果,(4) それに対する住民の評価という4つの分析を行い, 景観づくりの手法としての成果と課題を考察した。条例では, 新築・増改築時のルールを定め, 工事予定者はルールに適合しているか審議会の審査を受けることが補助金により奨励されている。こうした景観コントロールの手法を, 住民と地元行政だけで行い, 大きな成果を上げたことは高く評価される。しかし, 景観上議論のある建築への補助金の運用には, 想定外の建築への対応の課題が指摘できる。