著者
湯川 誠人 谷口 義明 井口 信和
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J103-D, no.8, pp.591-602, 2020-08-01

ネットワークセキュリティ教育においては,防御側の視点のみでなく攻撃側の視点を加えた学習を行うことで,防御手法の理解をより深めることができる.そのため,攻防戦型演習のように両側の視点を学べる演習が有効とされている.そこで本論文では,無償で提供されているソフトウェアを組みあわせることにより,低コストに攻防戦型ネットワークセキュリティ演習を実施できるシステムを開発した.本論文で対象とする攻防戦型演習は,初学者を対象としており,2人の学習者が攻撃側と防御側に分かれて演習を行う.開発システムは仮想化ソフトウェアを利用しているため,既存のネットワークに対して攻撃を行わない安全な演習が実施可能である.また,開発システムではブラウザを通して機器を操作するため,学習者は自身の保有するPC等を使って手軽に演習を実施可能である.性能評価の結果,想定する演習のネットワークの規模に開発システムが対応可能であること,また,学習者が仮想ネットワークの構築を円滑に実施できることを確認した.更に,利用評価を行い,開発システムの有用性を確認した.