著者
岸本 和理 谷口 義明 井口 信和
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.76-81, 2022-06-23

Webアプリケーションの脆弱性を悪用した主要な攻撃の1つにクロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃がある.Webアプリケーション内のXSS脆弱性を減らすためには,Webアプリケーション開発者が,XSS攻撃および対策手法を学ぶだけでなく,攻撃者視点でXSS脆弱性を発見するための知識やスキルを習得することが重要であると考えられる.そこで本稿では,攻撃者視点を取り入れたXSS演習システムを開発する.学習者はWebブラウザ,仮想ネットワーク上に構築したWebサーバ,攻撃者ホストを使って学習や演習を実施する.情報系学科の学生を対象とした実験の結果,本システムを用いることにより座学と比較してXSS対策の学習を支援できることを確認した.
著者
井口 信和 横前 拓磨 溝渕 昭二 向井 苑生
出版者
農業情報学会
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.39-52, 2011 (Released:2011-07-01)
参考文献数
9
被引用文献数
1

多くの組織において,環境計測などを目的にセンサデータの活用が進められている.計測サイト間でセンサデータを交換するためには,Webサーバ等によって,センサデータがインターネット上に公開されている必要がある.しかし,Webサーバやデータベースの運用上の問題やセキュリティ上の問題があるため,すべての計測サイトがWebサーバ等を運用できるとは限らない.さらに,NAT問題への対応や多くの種類のセンサへの対応も必要となる.そこで本研究では,センサデータの容易な交換を可能とするシステムを開発した.本システムによって,センサデータの効率的な検索と取得が可能となる.また,開発したノード用機能を導入することで,NAT環境においてもセンサデータの公開が可能なため,Webサーバ等の運用は必要ない.さらに,センサの種類の追加が簡単に行える機能を実装した.このシステムをハイブリッドP2P技術に基づいて開発した.本システムの基本的な能力を確認する実験を行ったので,本論文でその結果について報告する.
著者
野村 圭太 谷口 義明 井口 信和 渡辺 健次
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.672-682, 2017-03-15

今後,企業や大学などの既存ネットワークにおいてOpenFlowネットワークへの移行が進められると予測される.しかし,OpenFlowネットワークへの移行には,コントローラの設定やテスト環境の構築にコストを要すると考えられる.そこで本稿では,従来型のネットワークから,OpenFlowネットワークへの移行を支援するシステムを提案,設計,実装,評価する.提案システムを用いることにより,従来型のネットワーク上のルータから自動的に設定情報を取得し,その設定情報をOpenFlowネットワークで適用可能な形式に変換,その後,変換した設定情報をOpenFlowネットワークへ反映させることができる.これにより,従来型のネットワークと同等のパケット制御を行うOpenFlowネットワークを半自動的に構築できる.本稿では,実ルータを用いた評価の結果,最大10台のルータから構成される従来型のネットワークを6分以内でOpenFlowネットワークに移行できることを確認した.
著者
眞鍋 督 谷口 義明 井口 信和
雑誌
情報処理学会論文誌デジタルプラクティス(DP) (ISSN:24356484)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.22-32, 2023-07-15

本研究では,クラウド環境を標的とするDDoS攻撃の対策演習を実施できる環境の提供を目的としてDDoS攻撃の対策訓練システムを開発した.本システムは,Infrastructure as a Serviceにおいて最も採用されているAmazon Web Serviceを用いた演習が可能である.また,高度化するDDoS攻撃にも対応できる力を身につけるために,対策手法に加えて攻撃手法に関する演習も実施できる.本システムによる演習を通して,クラウド環境を狙ったDDoS攻撃の対策手法に関する理解と知識の定着が期待できる.実験協力者20名を対象に実施した評価実験の結果,本システムを利用する学習が座学と比較して有効であることを確認した.
著者
藤井 勝央 吉原 和明 井口 信和
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.1024-1030, 2023-05-15

ネットワークトラフィックの増加にともない,通信品質の低下やネットワークダウンを引き起こす可能性のある輻輳や遅延の発生が問題となる.この問題を解決する方法の1つにQoS制御がある.ネットワーク技術者はQoS制御の仕組みについて学び,活用することが有用である.しかし,QoS制御はネットワーク機器内部で動作するため,直感的に理解することが難しい.このため,QoS制御の動作の検証や効率的な学習のためには,動作の可視化が有効であると考えられる.本論文では,ルータ内部のQoS制御処理をアニメーションを用いて可視化するシステムを実装した.実験の結果,仮想ルータ15台までのネットワークで動作し,QoS制御を可視化できることを確認した.
著者
江川 悠斗 谷口 義明 井口 信和
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.1298-1306, 2021-05-15

Wi-Fiネットワークを介して様々なIoT機器がインターネットに接続されているが,小規模組織や家庭ではIoT機器が適切に管理されておらず,十分なセキュリティ対策が講じられていない場合がある.管理されていないIoT機器を管理するためには,まず,無線LAN内のIoT機器を把握する必要がある.そこで本稿では,ノートPCのみを用いて無線LAN内のIoT機器の把握を支援できるシステムを提案,開発する.提案システムは,まず,無線LAN内の無線フレームを観測することにより,無線LAN内に設置されたIoT機器のアドレス一覧を取得する.また,IoT機器から送信される無線フレームの受信電波強度を利用して,システム利用者がシステム上に表示されたアドレスと実際のIoT機器の対応付けを行う際の補助を行う.さらに,利用者が所在を把握していないIoT機器がある場合は,そのIoT機器の設置場所に利用者を誘導する.本稿では,研究室内に設置したIoT機器を利用した実験により,提案システムを用いてIoT機器の把握を支援できることを示す.
著者
後安 謙吾 谷口 義明 井口 信和
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J104-D, no.2, pp.159-163, 2021-02-01

本論文では,MR技術を用い実空間上に仮想ネットワーク環境を構築するシステムを開発する.本システムにより,実ネットワーク機器を用いることなく,ネットワーク機器の配置や配線などの物理的な構成を確認しながら,ネットワークの検証や構築学習を実施できる.
著者
江川 悠斗 谷口 義明 井口 信和
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.56-62, 2020-11-26

Wi-Fi ネットワークを介して様々な IoT 機器がインターネットに接続されているが,小規模組織や家庭では IoT 機器が適切に管理されておらず,十分なセキュリティ対策が講じられていない場合がある.我々はこれまでに IoT 機器の把握を支援することを目的に,IoT 機器から送信される無線フレームを利用した IoT 機器一覧表示システムを開発してきた.本稿では,IoT 機器から送信される無線フレームを受信する際の受信電波強度を利用して,所在が不明な IoT 機器の設置位置にユーザを誘導するナビゲーション機能を新たに提案,本システムに導入する.また,研究室内に設置した IoT 機器を利用した実験により,ナビゲーション機能を用いて IoT 機器の設置された位置にユーザを誘導できることを示す.
著者
山浦 亘平 井口 信和
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.49-55, 2020-11-26

ネットワークの構築や構成変更を実施する際,作業者は作業手順書に基づき作業を実施する.作業手順書は一般的に手作業で作成されるため,作業手順書に記載されている内容に誤りが含まれる可能性がある.要件を満たしていない作業手順書に基づき作業を実施した場合,構築したネットワークは要件を満たさないことになる.そこで我々は,要件を満たすネットワークを構築するための作業手順書の作成を支援することを目的に,システムを開発してきた.開発システムは,仮想的に構築したネットワークの情報を用いて,要件を満たしている作業手順書を作成する.開発システムは,既存ネットワークの再現,仮想ネットワークの動作検証,作業手順書の自動作成ができる.本稿では,開発システムを評価するための実験について述べる.
著者
湯川 誠人 谷口 義明 井口 信和
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J103-D, no.8, pp.591-602, 2020-08-01

ネットワークセキュリティ教育においては,防御側の視点のみでなく攻撃側の視点を加えた学習を行うことで,防御手法の理解をより深めることができる.そのため,攻防戦型演習のように両側の視点を学べる演習が有効とされている.そこで本論文では,無償で提供されているソフトウェアを組みあわせることにより,低コストに攻防戦型ネットワークセキュリティ演習を実施できるシステムを開発した.本論文で対象とする攻防戦型演習は,初学者を対象としており,2人の学習者が攻撃側と防御側に分かれて演習を行う.開発システムは仮想化ソフトウェアを利用しているため,既存のネットワークに対して攻撃を行わない安全な演習が実施可能である.また,開発システムではブラウザを通して機器を操作するため,学習者は自身の保有するPC等を使って手軽に演習を実施可能である.性能評価の結果,想定する演習のネットワークの規模に開発システムが対応可能であること,また,学習者が仮想ネットワークの構築を円滑に実施できることを確認した.更に,利用評価を行い,開発システムの有用性を確認した.
著者
吉原 和明 井口 信和 渡辺 健次
出版者
一般社団法人 日本産業技術教育学会
雑誌
日本産業技術教育学会誌 (ISSN:24346101)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.73-80, 2018-06-30 (Released:2019-12-24)
参考文献数
12

本研究では,物理的可視化や物理的直接操作によるネットワーク学習教材を開発し,教材を用いた授業実践を実施し,事前・事後テストとアンケート結果をもとに教材の有効性を確かめた。本教材を用いることによって,現状では見ることのできないネットワーク技術を,LED を用いて物理的可視化し,ダイヤルやボタンを用いて物理的直接操作することで,直感的にネットワークの機能や動作を理解することができ,IP アドレスの仕組みを効果的に学習できることが確認できた。ネットワークの学習の問題点に,実験や実習を行うことが難しいことがある。加えて,ネットワークそのものが利用者の目に触れないところで働いているため,動作を直接見ることができないことも,学習を難しくしている。そこで本研究では,ネットワークの動作をLED の点灯により,物理的に可視化し,ボタンやダイヤルで物理的に直接操作することで,実際にネットワークの構築を通してIP アドレスの仕組みを学習するための教材を開発した。中学校1 年生を対象に教材を用いた授業実践を行い,教材の評価を行った。授業対象者を実験群と統制群に分け,事前テスト・事後テストを行った結果,事後テストでは,実験群の方が統制群より得点が高い傾向にあり,有意差が見られたことから,教材の有効性が確認できた。
著者
長谷川 太一 井口 信和
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.49-56, 2016-12-01

ネットワーク機器を新規に設置又は設定変更する時,設定ミスの発生を避け,かつ確実な確認をするため,多くの場合,二人以上の作業者 ・ 管理者によって作業を実施する.この時,ネットワーク管理者は作業手順書に基づいて,相互に確認しながら作業を進める.しかし,設定情報を確認する作業では設定情報の読み間違いなどが発生する場合があるため,何度も確認が必要となる.そこで本研究では,ネットワーク管理の支援を目的とし,AR を用いてネットワーク機器の設定情報を可視化するシステムを開発した.本システムは,AR によりネットワーク機器に設定情報を重畳表示することで,作業手順書に記載の設定情報と併せて,機器の設定情報を確認できる.これは,ネットワーク管理者が複数人で作業する場合だけでなく,一人で作業をする場合にも有効である.本報告では,本システムの実装と評価について述べる.
著者
松岡 高輝 波部 斉 阿部 孝司 井口 信和
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.555-556, 2018-03-13

水産養殖場では,魚の健康を維持するために管理が必要不可欠である.特に,クロマグロを養殖するとき,稚魚の段階で死亡する割合は8~9割と非常に高い.クロマグロは外からの刺激に対して敏感であるため,刺激によってパニック状態となり,水槽の壁に衝突して死んでしてしまうこともある.人手に頼らず,瞬発遊泳の検知やその傾向の分析ができれば,魚をより適切に飼育する環境の構築に役立つことが期待される.そこで本研究では,カメラを用いてクロマグロ稚魚が遊泳する様子を撮影し,その映像からオプティカルフローを求めて群になって泳ぐ稚魚のマクロな動きを捉え,機械学習により瞬発遊泳の検出やその傾向の分析を行う.
著者
長谷川 太一 井口 信和
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.33-39, 2017-11-30

ネットワーク機器の管理には,ネットワーク機器の接続や,設定の変更または,それらが正しく実施されているか確認する作業がある.そして,これらの作業を実施する時に作業ミスを減らすため,二人以上の管理者で作業を実施する場合がある.二人以上の管理者で作業を実施する場合は設定者と確認者の二手に分かれ,設定者が実施した作業内容を設定者と確認者が複数回にわたり確認する.この時,作業は作業手順書に基づき実施され,確認はネットワーク機器の接続状態や設定内容を作業手順書と照らし合わせる.しかし,このような手順で作業を実施する場合においても作業ミスは発生する.そこで,本稿では作業手順書に基づいたネットワーク機器の管理作業において,管理者が入力するコマンドのダブルチェックを可能とする設定補助システムを開発した.本システムは,設定者が入力するコマンドを一度確認者が持つタブレット端末に送信し,確認することで,コマンドの入力ミスや間違えを減らすと考える.実験では,設定者が本システムの作業用コンソールを用いた場合に,作業に支障が生じる遅延が発生しないか検証し,作業に支障が出るような遅延は発生しないことを確認した.
著者
奥田 裕樹 福田 洋治 白石 善明 井口 信和
雑誌
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:21888655)
巻号頁・発行日
vol.2017-CSEC-78, no.16, pp.1-6, 2017-07-07

本研究では,端末にマルウェアを送る主要な手段の 1 つであるドライブ ・ パイ ・ ダウンロード攻撃 (DBD 攻撃) を含むインシデントを想定し,マルウェアの感染と活動の調査を支援するシステムを開発する.本システムは,インシデント発生時の通信パケットの記録から DBD 攻撃に関連する悪性 Web サイトへのリクエストとそのレスポンス,Web クライアントの動作を再現する.悪性 Web サイトは作られてから姿を消すまでの期間が短く,端末に設置されたマルウェアが活動後に消失,または攻撃者が痕跡を消去 ・ 攪乱すると,事後の調査が困難になる.インシデント対応の初動や調査の場面で本システムを用いることで DBD 攻撃によるマルウェア感染の過程が再現できる.これをインシデントが観測 ・ 記録できる環境で実施することでマルウェア感染の過程と活動の痕跡の収集と記録を支援する.
著者
井口 信和 元永 佳孝 内尾 文隆 二宮 正士 亀岡 孝治
出版者
Japanese Society of Agricultural Informatics
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.155-164, 2006
被引用文献数
3 6

農作物の生産現場において, 画像データは, 栽培管理や栽培記録, 生育レベルの診断, 病害虫の診断などに広く利用されている. 本研究では, 農業の現場で利用される様々なデジタル画像データの効率的な交換を目的として, P2Pを用いた農作物画像共有システムであるBIXイメージブローカシステムを開発した. 本システムはHybrid型P2Pシステムとして開発したことを特徴とし, コンテンツである画像データと画像データのメタデータを分散して管理する. これにより, 画像データの検索速度の向上と効率的な画像交換が実現できると同時に, ピアグループへの参加認証を行うことが可能となり, 特定のグループ内での安全なデータ交換が実現できる. 利用者はP2Pノード上のユーザインターフェイスを用いて簡単に画像データの検索・取得などが実行できる. 本研究では, プロトタイプを開発し, 実際にインターネットを経由した利用実験を行い, P2Pによる農作物画像共有システムの実現性を示した.
著者
福山 和生 谷口 義明 井口 信和
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.931-935, 2016-03-15

不正アクセスによる被害の増加,ネットワークセキュリティに関する知識,技能を持つ技術者の不足などを背景に,ネットワークセキュリティ教育の重要性および緊急性が高まっている.実践的なネットワークセキュリティ教育のためには演習が不可欠であるが,独立した演習環境を構築するための機材の準備コストなどが障壁となる.本研究では,仮想マシンを用いて1台のコンピュータ上に不正アクセス対策機器を導入した仮想ネットワークを構築することにより,安全かつ低コストにネットワークセキュリティに関する演習を実施できるシステムを実装した.評価実験の結果,本システムで実践的なネットワークセキュリティの学習環境を提供できることが分かった.