著者
湯木 正史 鈴木 清美 杉本 典子 樋口 貴志 鈴木 秀典 石川 勝行
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.721-724, 2004-11-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
11

免疫介在性溶血性貧血 (Immune-mediated hemolytic anemia: IMHA) と診断した犬2例に対し, プレドニゾロン, シクロスポリン, アザチオプリン, ヒト免疫グロブリン製剤, 輸血などによる治療を行ったが, 貧血の改善が得られなかった. そこでシクロスポリンの10~100倍の免疫抑制作用を持つとされるタクロリムス (FK506) を併用したところ, 1例では貧血の著明な改善が, 他の1例ではPCVの維持が認められた.
著者
永田 矩之 湯木 正史
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.101-104, 2013-09-20 (Released:2016-01-26)
参考文献数
13

2カ月齢の未去勢雄の雑種猫が跛行を主訴に来院した。X線検査で右大腿骨遠位および右脛骨近位の骨折を認め,骨のX線透過性は亢進していた。血液検査ではイオン化カルシウムの低下および上皮小体ホルモンの著しい上昇を認めた。食餌内容は鶏肉中心とのことだった。治療は外固定,運動制限および食餌療法を行い,速やかな改善が認められた。臨床症状,X線検査所見,イオン化カルシウムの低下と上皮小体ホルモンの上昇,食餌内容および食餌の改善による速やかな回復という点から本症例を栄養性二次性上皮小体機能亢進症と診断した。
著者
新田 牧子 湯木 正史
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.65, no.10, pp.786-789, 2012-10-20

8歳齢の避妊雌のパピヨンが,元気消失,食欲不振,急性の下痢を主訴に来院した。症例は10カ月前に巨大食道症を発症し,各種検査から甲状腺機能低下症と診断され,レボチロキシンナトリウム療法により改善していた。来院時,血液生化学検査にて低蛋白,低血糖などの異常を認めた。ACTH刺激試験にて,コルチゾール値は低値を示し,内因性ACTH濃度は高値を示した。本症例では副腎皮質機能低下症に多くみられる電解質異常を伴わないことから,非定型副腎皮質機能低下症と診断した。プレドニゾロンの治療により良好な経過が得られている。本症例は,免疫介在性の破壊をおもな原因とする二つの内分泌疾患を有することから,多腺性自己免疫症候群が疑われた。