著者
三宅 敏郎 満井 喬
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌(Journal of Pesticide Science) (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.17-24, 1995
被引用文献数
2

抗幼若ホルモン活性物質として知られるプレコセン2のセジロウンカに対する生物活性を検討した. その結果, プレコセン2は, 処理時のウンカのステージ, 処理期間 (取り込み量) を変えることにより1) 速効的な殺虫活性, 2) 早熟変態 (prothetely, 抗幼若ホルモン活性), 3) 過剰脱皮 (metathetely, 幼若ホルモン様活性) という3種の異なった作用を引き起こすことが認められた. このうち, 早熟変態については幼若ホルモン様活性物質であるNC-170の同時処理により作用の発現が打ち消されたが, 天然のJH-1, JH-2, JH-3の同時処理では打ち消されなかった. 一方, 抗幼若ホルモンであるプレコセン2が, なぜ metathetely を誘起するのかは不明であるが, 今回の実験結果における"処理期間と metathetely 発現との関係", および, 過去, バッタ類で観察された同様の結果から推測すると, 虫体に取り込まれたプレコセン2の量が不十分であると, アラタ体を完全に不活性化できず, 逆に幼若ホルモンの生合成/分泌を一時的に促進する効果があるものと思われる.
著者
Fonagy Adrien 松本 正吾 内海 恭一 折笠 千登世 満井 喬
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.47-54, 1992-02-20
被引用文献数
5

カイコおよびハスモンヨトウを用い, 合成したカイコのPBANのフェロモン腺に対する作用を, in vivoおよびin vitroで検討した.合成PBANを断頭したカイコ雌成虫に注射すると濃度依存的にボンビコールの生産が促され, また, その生産量は注射後90∿120分で最大となった.一方, 合成PBANを含むGrace培地でカイコおよびハスモンヨトウのフェロモン腺を培養したところ, 両種とも濃度依存的にフェロモンの生産が促され, その生産量は培養開始後90∿120分で最大となった.さらに, 両種におけるフェロモン生産はカルシウムイオノフォアを含むGrace培地でフェロモン腺を培養しても引き起こされることから, カイコおよびハスモンヨトウにおいて, PBANの標的器官がフェロモン腺であること, また, その作用の発現にはカルシウムイオンが介在していることが示唆された.