著者
溝口 佑爾
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.33-48, 2019-03-31

A index "Live close to/away from home" made by the distance gives us a framework for dividing academic achievement into two types. The paper examines effects of two types of academic achievements on residential mobility.
著者
溝口 佑爾
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

2012年度は、前年度に引き続き、これまでの研究のアウトプットを続けると同時に、これまでの理論的研究で得られた洞察を、巨大災害後の復興支援プロジェクトへと直接生かしつつ、その成果を残すための地盤作りに取り組んだ。2010年度に築いたルーマン社会システム理論の時間論的、そしてメディア論的な拡張を、2011年3月11日に起きた東日本大震災を受けて立ち上げた被災地支援活動「思い出サルベージ」プロジェクトにおいて実践していった。同プロジェクトは、宮城県亘理郡山元町において津波に飲まれて持ち主不明となった写真約70万枚を、洗浄・デジタル化・データベース化して持ち主へと届けることを目的とした支援活動である。申請者は、同プロジェクトの立ち上げ人兼現代表として、宮城県亘理郡山元町における被災写真救済活動の実質的な指導およびフィールドワークを続けてきた。また、山元町以外の被災写真救済活動(沿岸部の各被災自治体)についても、技術指導、ネットワーキングに勤めながら、フィールドワークを行った。その実践的な成果の一部は、研究発表1.および学会発表1.~4.としてアウトプットしてきた。また、アウトリーチ活動として、山元町内の各教育機関及び各地の大学、また市民に向けた学問的なコミュニケーションの場へと積極的に還元してきた。本研究は、当初の計画に比べ、理論よりも実践的な還元に重きを置くものとなった。しかし、そのことは、理論的な洞察が実践的な還元へと直結するという意味で、理論的研究たる本研究の意義を示す結果であると言えるだろう。現在も続く復興支援活動「思い出サルベージ」において活かされているのは、本研究が築いたルーマン社会システム理論の時間論的・メディア論的拡張である。もちろん、限られた時間の中で震災というイレギュラーな事態を受けたことで、やり残した課題は多いといえるだろう。一番大きな課題は、実践から理論への逆方向の還元である。再びの理論化による社会学理論への還元については、来年度以降の日本学術振興会特別研究員PDとして実施する研究での課題とする所存である。PDにおける研究は、実践的なフィールドワークから得られる洞察を、拡張されたルーマンメディア理論を手がかりにして、現代の社会学理論へと還元するものとなる見通しである。また、採用の初年度より着手している、アジアにおける「圧縮された近代」の計量的な検討もさらに発展させ、その成果を発表する機会を得た(学会発表(国内)5.&学会発表(海外)1.)。近代化のスピードに着目するこの研究は、社会学のカギとなる概念の一つである近代化のバリエーションを計量的に考察することで、当該研究であるルーマン社会システム理論の時間論的・メディア論的拡張の、応用的な側面を補うものとして位置づけられるものである。今年度は、タイのチュラロンコーン大学での研究会において、東アジアにおける家族観に対する高学歴化の影響に対して、非儒教圏にも通じる視座を獲得することができた。
著者
溝口 佑爾
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.1-36, 2021-03-31

被災写真救済活動が東日本大震災に関する記録として参照されることが増えてきた一方で、関連する研究同士の参照は積極的に行われてはこなかった。本研究は被災写真救済活動に関する包括的なレビューを行うことで、学術の分野において被災写真を題材として切り開かれた地平を見極め、以降の研究の出発点を定めるためのものである。Vol.2では2014年から2020年3月までに発行された論文について取り扱う。
著者
溝口 佑爾
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Sociology, Kansai University (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.141-160, 2018-03

本稿では、嘘つきのパラドクスを巡る「リベンジ嘘つきのパラドクス」の議論を踏まえ、「リベンジOG」という補助線を取り出すことでOG 問題と嘘つきのパラドクスの対応関係を指摘する。この対応関係を踏まえることでOG問題を巡る議論の地平を捉えなおすことができる。