著者
滝 聖子 大崎 紘一 宗澤 良臣 梶原 康博
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.302-311, 2005-10-15
被引用文献数
2

本稿では,一般的なロボットシステムに料理を行わせるために,料理作業をロボット料理レシピとして定式化する手法を提案する.まず,人間の料理レシピの内容と料理知識からロボット化するために,ロボット料理レシピとしてまとめるために,料理作業の内容を5項目(料理作業名,食材,料理内容,料理用具等及び生じる中間食材)で示し,その内容及び条件を示した料理作業詳細表(レベル1,2,3)を作成する.レベル1では料理レシピの人間の行う料理作業を目的によって準備料理作業,主要料理作業及び完成料理作業に区分(以下,料理区分作業という)に分類する.レベル2では料理区分作業をロボットが単一の食材,料理用具・食事用具・厨房器具に対して行う作業,及び,ロボットを使用せず厨房器具・料理容器によって単一の食材を変化させる作業(ロボット料理作業)に,レベル3ではロボット料理作業をセンサで状態を見ながらロボットに行わせる動作(ロボット料理動作),さらにロボットの行うロボット動作とセンサの行う感覚動作に展開して料理作業詳細表を作成することにより,ロボット料理レシピを作成する.そして,著者らの開発した料理ロボットシステムで,提案したロボット料理レシピを用いて実際に料理を作ることでその妥当性を示した.
著者
岩本 英久 梶原 康博 滝 聖子 関 洲二
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.208-217, 2007-08-15

技能の伝承や保存のために,技能者の動作をモデル化し,その動作の特徴を明らかにすることは重要なことである.本研究では,技能者による動作のモデルとして,技能伝承訓練段階であっても,患者の生命に危険を与えてはならない外科手術における運針動作を対象にする.運針動作のモデル化は,外科医の運針軌跡を4種類のパターンに設定し,ロボットで再現することによって行う.運針動作の特徴は,縫合針の軌道と運針後の軌跡を比較するとともに,持針器に加わる回転トルクを測定して考察する.その結果,縫合針円に沿った運針パターンは,軌道と軌跡の差および回転トルクを最小にできることが示された.実際の手術現場では,縫合針円よりも深い運針を行っているので,縫合針円より深く補正する運針パターンの中で比較すると,縫合長さの中央で深く補正する運針パターンが軌道と軌跡の差が小さく,回転トルクの小さい運針であった.