著者
滝 麻衣
出版者
公立大学法人 国際教養大学専門職大学院グローバル・コミュニケーション実践研究科日本語教育実践領域
雑誌
国際教養大学専門職大学院グローバル・コミュニケーション実践研究科日本語教育実践領域実習報告論文集 (ISSN:21853983)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.117, 2018 (Released:2018-10-08)

本稿は,筆者が参加した日本語教育実習で,プレゼンテーションに向けて行った協働学習について検証したアクションリサーチである。筆者は,学習者間での学び合いを促すため,ファシリテータとして指導することを目指した。本稿では,プレゼンテーションに必要な指導を行えていたのか,また協働学習を促せていたのかを検証した。結果として,学習者のレベルや協働学習に関する経験の把握,活動目的の具体化が不十分であり,活動への介入度の高さや活動の時間設定に問題があったことが明らかとなった。しかし,これらの問題があったにも関わらず,チームティーチングでの指導や授業外での作業を増やしたことで,学習者の発表は予想よりよいものになった。今後一人で指導する際には,レベル差や学習者の人数が多いクラスの場合,今回のように指導するのは困難である。そのため,明らかとなった問題点を改善し,より効果的な協働学習が行えることを目指す。
著者
山本 純子 滝 麻衣 オーコナー スティーブン
出版者
環太平洋大学
雑誌
環太平洋大学研究紀要 = BULLETIN OF INTERNATIONAL PACIFIC UNIVERSITY (ISSN:1882479X)
巻号頁・発行日
no.17, pp.123-135, 2020-11-30

バディ・システムは,語学交換や異文化交流を目的に,ニュージーランド教育省の管轄である国立大学全てがその制度を設けていることから,イギリスとの歴史的な教育上の流れを引き継いだアカデミック・カルチャーであると言えるのではないだろうか。イギリス教育の先駆者の1人であるGeoff(2009)は「バディ」グループを作って学習することの重要性を唱えている。本研究の意図は,本学の日本研究学科が夏学期に実施したバディ・セッションにおける学生の語学力,特にスピーキングとリスニングの上達への期待とモチベーション維持及び向上に繋げることである。さらには,ニュージーランドにおいて数少ない日本人学生との交流を図る上でニュージーランド人学生の日本語が上達するための要因を探究することである。2020年の夏学期に日本語と英語の協働演習の場として,IPU New Zealand日本研究学科は日本語と英語の語学交換プログラムを考案し,2月20日(木)から開始3月12日(木)修了の計7回実施した。毎週月曜日と木曜日の4時30分から5時 45分までで,日本語で30分,フィードバック5分,英語30分,フィードバック5分の1対1または3名程度のグループで行った。研究データの収集方法は,日本語学習者5名に事前アンケート(prequestionnaire)を記入してもらい,またセッション修了日に,再度アンケート (post- questionnaire) 調査を実施した。本稿の目的は,アンケートの内容を基に,バディ・セッションに参加することで教育的成果として学習者の語学力上達に繋がっているのか,彼らのモチベーション維持に役立っているのか,その結果を考察することである。