著者
山本 純子 大澤 留次郎
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.11, pp.819-827, 2016-02-01 (Released:2016-02-01)
参考文献数
3

現代に生きるほとんどの日本人は「くずし字」で書かれた古典籍を読めず,大量に現存する古典籍の内容がわからなくなりつつある。そこで,負荷の高い翻刻の省力化を目的に,新方式OCRを開発した。くずし字を含む古典籍を対象とした原理検証実験の結果,一定の条件下で,精度80%以上の自動テキストデータ化が可能であることを実証した。新方式OCRでは,文字画像を位置情報とともに切り出した字形データベースを構築。この字形データベースから類似字形検索により翻刻対象古典籍の文字の文字コードを特定する。また,完全自動化ではなく,人手と自動処理を組み合わせた作業工程設計により翻刻の総合的な負荷軽減を目指す。新方式OCRの仕組みと,これを用いた翻刻の現況を報告する。
著者
山本 純子
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.25-35, 1990-07-31 (Released:2012-11-27)
参考文献数
32

“BUGEI-ZUFU-TSUUSHI (Korean, Muye-Tobo-Tongji)” was published in 1790. This has been the most representative book of material arts in Korea. Some sword arts, for example, SOUSHUTOU (Ssangusudo), EITOU (Yedo), WAKEN (Oegum), KOUSENFU (Gyojoenbo), TEITOKUKEN (Jedoggum)(Jedoggum) and HONGOKUKEN (Bongukgum) are found in this book. The purpose of this study was to clarify the relationship between these sword arts and Japan between the ones and China.The Results can be summarized as follows.1. SOUSYUTOU was affected by WAKOU (Japanese pirates), KOUWA (Japanese prisoners of the Invasion of Korea by Toyotomi Hideyoshi) and the drillmasters of Ming China army in the process of its formation.2. EITOU was affected by Japanese-Korean trades in the process of its formation.3. WAKEN and KOUSENFU were affected by CHOUSEN-TSUUSHINSHI (Korean missions to Japan) in the process of their formation.4. TEITOKUKEN was affected by the drillmasters of Ming China army.5. HONGOKUKEN was affected by the thought of Korean nationalism in those days.
著者
山本 純子
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.24-34, 1991-07-31 (Released:2012-11-27)
参考文献数
28

“BUGEI-ZUFU-TSUUSHI” (in Korean, Muye-Tobo-Tongji) was published in 1790. SOUSYUTOU (Shangusudo) can be seen in this book. SOUSYUTOU was affected by KOUWA (Japanese prisoners of the Invasion of Korea by Toyotomi Hideyoshi) and the drillmasters of Ming China army in the process of its formation. This study attempted to analyze the political situation of a sword arts in Japanese Invasion of Korea from 1592 to 1598. The purpose of this study was to clarify the relationship of SOUSYUTOU with KOUWA and Ming China army.The results can be summarized as follows.1. In those days, a sword arts in Korea was less developed than Japan and China.2. The sword arts was introduced into Korea from Japan and China by KOUWA and Ming China army in KUNRENTOKAN (HullyonTogan).3. SOUSYUTOU was affected by KOUWA and Ming China army through the medium of KANKYO (a man of public functionary in Korea).
著者
園田 茂 榊原 美紀 森 光代 山本 純子 岡島 康友 千野 直一
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.9, pp.641-644, 1998-09-18
被引用文献数
2

サウンドスペースプロセッサRSS-10を用いたヘッドフォン方式の音方向覚検査の信頼性を検討した. 15名の難聴でない健常被験者を対象に, ホワイトノイズ(WN)および女声(FV)を正面と, 左右に30度, 60度, 90度の計7点より3回ずつ呈示した. 音は全試行とも方向覚を持って聞こえ, 平均正答率62%, 呈示音と回答とのずれの角度は5〜18度, 平均12度(SD=9) (WN), 1〜19度, 平均11度(SD=8) (FV)であった. WNを左から右, 右から左に被験者の前を通るように約10秒で移動させ, 正中を通過したと感じられる時点の位置の平均はそれぞれ正面から-11.1度(SD=8.0), 3.4度(SD=7.5)であった. RSS-10を用いた音方向覚検査は再現性が高く, 臨床上有用と考えられた.
著者
川村 理 山本 純子 首藤 明日香
出版者
香川大学農学部
雑誌
香川大学農学部学術報告 (ISSN:03685128)
巻号頁・発行日
vol.60, no.113, pp.83-86, 2008-02

改良ジエチルアミノプロピルシリル化シリカゲル固相抽出法によるオクラトキシンA(OTA)の分析法は、簡便かつ低コストで毒性の強い有機溶媒を使わない優れた方法である。しかし、この方法をそのまま節製品に適用させた場合、回収率が約65%と低かった。そこで、固相抽出での洗浄を80%メタノール:酢酸(99+1)から(99.5+0.5)に変更したところ、85%以上の高回収率であった。本法で、2003-05年の市販節製品114検体を分析した結果、粉末削り節49検体中7検体(17%)平均4.1ng/gとだしパック12検体中3検体(25%)平均8.7ng/gのOTAを検出した。しかし、削り節53検体からはOTAは検出されなかつた。以上の結果から、節製品の製造工程からOTA汚染は、カビ付け工程以前で起こっている可能性が示唆された。
著者
中島 尚登 星 順隆 浅井 治 山本 純子 竹内 直子 神谷 昌弓 加藤 敦子 長谷川 智子 山崎 恵美 中山 一
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血学会雑誌 (ISSN:05461448)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.795-802, 1991-12-25 (Released:2010-03-12)
参考文献数
18

A new red cell preservation solution is described in which the red cells may be stored for 42 and 49 days. An in vivo and vitro study of 42 and 49 days stored red cells with saline, adenine, glucose, mannitol (SAGM) preservation solution (OPTISOL, Terumo Corporation) was conducted using 20 healthy volunteers to document in vivo efficacy and analyze the validity of the 51Cr technique. Standard in vitro parameters of OPTISOL red cell concentrates were well preserved with low levels of hemolysis and high levels of red cell ATP which is compatible with their survival after 42 and 49 days storage. Osmotic pressure at hemolysis ending point of 42 and 49 days stored red cells did not change, while osmotic pressure at hemolysis starting point increased on 49 days. The red cell viscosity increased and scanning electron-microscopic studies showed that the majority of them became echinocyte and spherocyte on 49 days. In vivo autologous post-transfusion recovery was measured by using a 51Cr-labeled red cells. After 42 days of storage, post-transfusion 24-hour recovery averaged 82.3±8.4% and 48-hour recovery was 79.1±9.1%, and after 49 days, 24-hour recovery was 75.9±3.6%, but 48-hour recovery, which averaged 69.9±5.2%, was significantly lower.The present study reports in vivo and in vitro evaluation of a new red cell storage medium which allows high levels of post-transfusion recovery and permits without significant hemolysis. The results suggested that 42 days if a more suitable shelf life than 49 days.
著者
森田 婦美子 山本 純子 高橋 弘枝
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.149-154, 2012 (Released:2017-05-10)
被引用文献数
2

口腔ケアは歯科疾患の予防を目的にしたものから,嚥下,構音,審美など広義の口腔ケアの目的が重視されるようになってきた。今回,口腔ケアとして,口腔へのブラシ刺激が,脳血流にどのように影響するのか前頭前野における脳血流の測定をおこなった。すべての研究協力者において上顎硬口蓋のブラッシング時,oxyHbの脳血流量が多く観察された。次いで舌,上顎中側切歯根部の順であった。目視解析においては,左眼窩前頭前野や頭頂葉の前運動領野からのoxyHb血流量増加を認めた。上顎硬口蓋への刺激は舌,上顎中側切歯根部に比較して優位に血流量が増加しており,これらのことから,日常のケアにブラシ刺激を取り入れることで,脳の活性が期待できると考える。
著者
山本 純子
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.280-283, 2020-07-01 (Released:2020-08-24)

凸版印刷は、スポーツ庁の「スポーツ・デジタルアーカイブ構想」にもとづき、平成29年より令和元年までスポーツ系資料を所蔵している7機関と連携し、関係者への仮想環境「検証用公開システム」を公開し、スポーツ・デジタルアーカイブの在り方についての検証実施を支援した。スポーツ資料のデータモデルおよびデータ構造の在り方の解析、人名・競技・イベント・形状・分類等の辞書データの策定、他システムとの連携の検討等を通して、システム構築における課題を報告する。また、作業負荷の大きな分類付与作業に関するAI活用による省力化実験の作業削減策について、人手による分類結果との約80%の一致をみた成果と今後への期待を報告する。
著者
山本 純子 徳珍 温子 小坂 やす子 長谷川 幹子
出版者
太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.177-186, 2010-03

本研究の目的は,看護学生の就業動機と自己同一性(自分の確立)との関連を検討することである。看護大学生198名を対象に,下山1)の自分の確立尺度と安達2)の就業動機の尺度を使用して調査を行った。その内容は,自分の確立尺度と就業動機の昇順項目の検討をしたうえで,因子分析を行い,両尺度の関連性を把握するために重回帰分析にて検討した。その結果,自分の確立尺度では,自己否定はなく理解してくれる人はいるが,心が傷つきやすく,何事にも不安に思っていることがわかった。また,就業動機の下位尺度から,仕事に対する責任感や上位志向が低い傾向にあることが示された。さらに,2つの尺度間の関連は,説明変数を,自分の確立尺度として学生,祖父母との同居の有無,就業動機を目的変数として分析したところ,以下の項目で有意に関係していた。学生では,主体性(p<0.05),親密性(p<0.01),また,祖父母の同居の有無は,親密性に(p<0.01),さらに,探索志向は,確実性(p<0.001),統制性(p<0.01),挑戦志向では,能動性(p<0.01),親密性(p<0.001)で有意に高く関係していた。つまり,看護学生の就業動機の探索志向の積極的姿勢には,自分と自分の世界に対する現実感や信頼感を持っていることや自我の統合力に関連があることがわかった。また,挑戦志向では,困難な仕事に挑戦し,自己成長しようとする姿勢を自分でコントロールしながら,積極的に関わっていこうとする能力や人との関わりを持ちたいと思う対人関係の柔軟性の関連を示していた。就業動機に関して,受容性および主体性は有意な関連はなかった。
著者
中山 由希子 山本 純子 新野 真純 小島 成浩 市原 広太郎 神田 大輔
出版者
一般社団法人 日本臨床栄養代謝学会
雑誌
学会誌JSPEN (ISSN:24344966)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.37-41, 2023 (Released:2023-08-24)
参考文献数
12

ひきこもりとなり,即席麺の極端な偏食によってビタミンB12と葉酸の欠乏による巨赤芽球性貧血を経験したので報告する.症例は31歳男性.16歳から一人暮らしを始め,26歳から家にひきこもるようになった.金銭的な理由もあり食事は約5年間ほとんどカップ麺で済ませていた.歩行困難となり入院となった.BMI 14.1 kg/m2の高度のるい痩と25.5%の高度体重減少を認め,著明な大球性貧血(Hb 2.8 g/dL)を伴う汎血球減少,筋力低下と下肢の位置覚・振動覚低下も認められた.血中ビタミンB12および葉酸の欠乏が確認され,補充したところ症状は回復し退院となった.社会情勢の変化により失業やひきこもりが増加すると,経済的困窮などにより安価で簡便な即席麺に頼り,若年者においても重度の栄養障害が引き起こされる.社会問題を抱える人には栄養障害を未然に防ぐ予防的な視点も重要であり,社会的仕組みの構築が求められる.
著者
山本 純子 滝 麻衣 オーコナー スティーブン
出版者
環太平洋大学
雑誌
環太平洋大学研究紀要 = BULLETIN OF INTERNATIONAL PACIFIC UNIVERSITY (ISSN:1882479X)
巻号頁・発行日
no.17, pp.123-135, 2020-11-30

バディ・システムは,語学交換や異文化交流を目的に,ニュージーランド教育省の管轄である国立大学全てがその制度を設けていることから,イギリスとの歴史的な教育上の流れを引き継いだアカデミック・カルチャーであると言えるのではないだろうか。イギリス教育の先駆者の1人であるGeoff(2009)は「バディ」グループを作って学習することの重要性を唱えている。本研究の意図は,本学の日本研究学科が夏学期に実施したバディ・セッションにおける学生の語学力,特にスピーキングとリスニングの上達への期待とモチベーション維持及び向上に繋げることである。さらには,ニュージーランドにおいて数少ない日本人学生との交流を図る上でニュージーランド人学生の日本語が上達するための要因を探究することである。2020年の夏学期に日本語と英語の協働演習の場として,IPU New Zealand日本研究学科は日本語と英語の語学交換プログラムを考案し,2月20日(木)から開始3月12日(木)修了の計7回実施した。毎週月曜日と木曜日の4時30分から5時 45分までで,日本語で30分,フィードバック5分,英語30分,フィードバック5分の1対1または3名程度のグループで行った。研究データの収集方法は,日本語学習者5名に事前アンケート(prequestionnaire)を記入してもらい,またセッション修了日に,再度アンケート (post- questionnaire) 調査を実施した。本稿の目的は,アンケートの内容を基に,バディ・セッションに参加することで教育的成果として学習者の語学力上達に繋がっているのか,彼らのモチベーション維持に役立っているのか,その結果を考察することである。
著者
山本 純子
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.57-70, 2007-06-30 (Released:2017-05-22)

UTAGAWA Yoshitaki(1841-99) was an Ukiyoe artist who worked mainly around Osaka from the late Edo to early Meiji period. The previous studies of Yoshitaki have been mainly about his print works. This paper, however, also looks into some of his rare paintings. Chapter 1 overviews changes observed in Yoshitaki's actor prints in more than 30 years of his career. Chapter 2 examines three paintings of beauties by Yoshitaki from 1880 to 1885, in which many similarities can be pointed out with his prints that were produced immediately before he shifted to paintings. Chapter 3 looks at two very important paintings of beauties painted in the late Edo era, one belonging to MFA Boston and the other to The British Museum respectively. Similarities with Yoshitaki's print style are also found in these works. Chapter 4, based on Chapter 2 and 3, discusses how, while using some print work elements, Yoshitaki's paintings style became sophisticated over time in comparison with his earlier paintings in which influences of his print works had been much more obvious.
著者
山本 純子 大澤 留次郎
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.11, pp.819-827, 2016

現代に生きるほとんどの日本人は「くずし字」で書かれた古典籍を読めず,大量に現存する古典籍の内容がわからなくなりつつある。そこで,負荷の高い翻刻の省力化を目的に,新方式OCRを開発した。くずし字を含む古典籍を対象とした原理検証実験の結果,一定の条件下で,精度80%以上の自動テキストデータ化が可能であることを実証した。新方式OCRでは,文字画像を位置情報とともに切り出した字形データベースを構築。この字形データベースから類似字形検索により翻刻対象古典籍の文字の文字コードを特定する。また,完全自動化ではなく,人手と自動処理を組み合わせた作業工程設計により翻刻の総合的な負荷軽減を目指す。新方式OCRの仕組みと,これを用いた翻刻の現況を報告する。